福山・三原市の不正公金支出、長期間発覚せず 文化財報告書の完成装い処理
▽専門家、違法の可能性指摘
福山、三原両市で文化財の調査報告書の刊行を巡り、不正な公金支出が相次いで発覚した。いずれも市の担当者が原稿の作成が遅れているのに、業者に納品書などを偽造させ、会計処理をしていた。専門家は虚偽公文書作成・同行使の罪などに当たる恐れがあると指摘。発覚まで不正が長期間、見過ごされてきたことも問題視している。
最初に不正が見つかったのは三原市だった。2006〜12年度の遺跡2カ所の発掘調査に基づく報告書の刊行で、市教委文化課の学芸員が原稿を完成させないまま、市内の業者に印刷・製本の納品書や請求書の偽造を指示していた。業者には14年度までに計176万円が支払われた。
市教委の説明では、10月13日、同課の職員が決算資料をチェック中に、この学芸員が19年度に遺跡1カ所の報告書の「概要版」を作成しながら印刷・製本代約30万円が業者に支払われていない事実が判明した。聴取を通じて、過去の不正が発覚した。
市教委は「学芸員が自らの怠慢を認めている」とする一方、業者に虚偽の納品書などを作らせた詳しい動機は明らかにしていない。市教委OBは「予算を消化しないと次年度に削られると恐れたり、仕事の遅れを報告するのを嫌がったりしたのではないか」と見立てた上で「学芸員の仕事の把握が不十分。放置してきた上司の責任も大きい」と、かつての職場に厳しい目を向ける。
福山市は今月上旬、三原市の事案を受けて内部調査。県重要文化財・神辺本陣の調査研究報告書の刊行を巡る不正が発覚した。文化振興課の担当者が18年度、専門家による建造物と文献の調査報告をまとめる際、113万4千円分の印刷などの納品書と請求書を業者に偽造させていた。未完成の報告書の存在を本人が打ち明け、その後の聞き取りで詳細が分かった。
市によると、当時の課長は担当者の報告により作業が間に合わないと事前に把握。にもかかわらず、会計課への支出命令書に押印したことも判明した。2人は会計が年度をまたぐと、予算が執行できなくなる恐れがあると考えたという。
担当者は当時、数カ月後には原稿が完成すると見込んでいた。しかし、不正が発覚するまで1年半近く、原稿は業者に渡っていなかった。業者は繰り返し催促したが、担当者が作業の遅れを理由に引き延ばしていたという。両市は今後、業者から全額を返納してもらう。福山市は原稿を仕上げ、年明けにも発注し直すとしている。
広島大大学院の吉中信人教授(刑法)は、偽造された納品書などで公金を支出させた行為は「虚偽公文書作成・同行使罪に当たる恐れがある。法令順守の徹底が必要だ」と警鐘を鳴らす。全国市民オンブズマン連絡会議事務局長の新海聡弁護士は不正が長期間、見過ごされてきた点を問題視し、「他の事業を含めて調査を尽くし、チェック体制も見直すべきだ」と指摘している。(門戸隆彦、馬場洋太)
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