【呉 コロナ禍の教訓】<上>福祉施設 職員の体調管理が重要
呉市内で9月下旬から急拡大を見せた新型コロナウイルスの感染者は、10月半ばまでに109人に達し、死者1人を出した。市内ではその後11月8日現在、新たな感染者は判明していないが、警戒は怠れない。クラスター(感染者集団)発生などで対応に追われた現場をあらためて見つめ、感染防止に向けた教訓を探る。
新型コロナのクラスターが発生した市内の介護老人保健施設。「体調はいかがですか」―。職員が今も毎日朝夕2回、入所者に尋ねて回る。「ささいな体調の変化も見逃さない」と責任者の男性(45)。感染拡大を繰り返すことのないよう、異常があれば即座に病院につなぐ構えだ。
この施設で初めて感染者が確認されたのは9月25日。職員2人で、もう一つのクラスターが発生した市内の飲食店を利用していた。責任者は「検温や手洗いを徹底し、マスクも着用していた」とするが、10月11日までに2人を含む職員8人と入所者23人の計31人に広がった。「あっという間だった」。振り返る言葉に実感がこもる。
▽60代以上が3割
介助などで「密」の避けられない場面の多い福祉施設。ウイルスが入れば一気に感染が拡大する危うさを抱え込んでいる。市や県、厚生労働省のクラスター対策班はこの施設に立ち入り、「危険区域」「安全区域」を分けるゾーニングをするなどして封じ込めを図った。
市内では10月15日に80代1人が亡くなり、高齢者のリスクの高さも鮮明になった。9月以降に判明した感染者109人のうち、60代以上の高齢者は33人と3割を占めている。
▽行動制限は限界
市内の各福祉施設は、職員に飲食店利用の自粛を求めたり、入所者と家族との面会を絶ったりなど対策を進めてきたが、課題は多い。ある施設の責任者は「これだけコロナ禍が長引くと、職員の行動制限は限界」と漏らす。
面会制限についても、同市焼山町の特別養護老人ホーム後楽荘の岡田光隆施設長(57)は「全く禁止してしまうと入所者の楽しみを奪い、介護の質低下につながる」と指摘する。後楽荘では1日3組限定で受け入れる。マスク着用、体調管理のチェックリストへの記入、手指消毒などを求めるが、「感染リスクが高まるのは事実。良いことか分からない」と胸中は揺れる。
広島大病院感染症科の大毛宏喜教授は「いくら防御を固めてもウイルスが施設内に入ってくる可能性はある」とし、その前提に立って「職員の体調管理を徹底し、調子が悪いときは休ませる体制の確保が重要」と指摘。面会は「マスク着用、短時間」の厳守を励行する。(東谷和平)
【呉 コロナ禍の教訓】
<上>福祉施設 職員の体調管理が重要
<中>教育現場 人権意識、授業通じ養う
<下>保健所 「陽性」伝達、細心の配慮
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