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ウサギはどこへ…コロナ禍で観光客減少、餌求め山中へ移動か 竹原の大久野島
「ウサギ島」として知られる竹原市忠海町の大久野島で、観光客たちが集まる広場や道路周辺に姿を見せるウサギの数が少なくなっている。島を所管する環境省は「新型コロナウイルス禍で餌を与える観光客が減ったため、植物を求めて生活圏を山中に移した可能性がある」とする。繁殖力が弱まる可能性もあり、個体数の調査を検討する。
【関連記事】ウサギの島、観光客激減で餌不足 竹原の大久野島(2020年4月30日掲載)
忠海港からのフェリーが着く島の第二桟橋周辺の広場。今月中旬、午前10時前に降り立って数えてみると、一帯で確認できたウサギは49匹だった。餌を持った観光客に群がるウサギは5、6匹ほど。数え切れないほどのウサギが待ち構えていた昨年までとは様子が異なっていた。
同桟橋前の観光案内所はコロナ禍で休所中だが、案内員を務める面谷浩幸さん(58)は定期的に島を訪れる。「涼しいこの時期なら、以前はもっと多くのウサギが観光客がくれる餌を目当てに集まっていた。案内所周辺では明らかに激減している」と話す。
島のウサギは1970年代に持ち込まれたものが繁殖したとされる。2013年ごろに動画がインターネットで拡散してからは、国内外から観光客が押し寄せるようになり、17年には過去最多の約40万7千人に達した。同省が18年に調べたところ、ウサギは約千匹にまで増えていた。
新型コロナの影響で今年3月ごろから観光客は激減。忠海港フェリーターミナルを運営管理する忠海港回漕(かいそう)店によると、3〜8月の半年間に同港から島に向かったのは計5万904人で、前年同期から6割減った。
環境省広島事務所(広島市中区)の山崎貴之自然保護官は「観光客から与えられる餌は減ったが、ウサギが次々と死んだという情報はない。生活圏が山中に移ったと考えられる」と話す。一方、野菜やペレット状フードなど栄養価の高い餌が自生の植物に変わることで、繁殖力が弱まる可能性はあるという。実態把握のため、本年度中をめどに個体数を調査することを検討している。(山田祐)
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