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犬のがん治療薬、山口大が開発 皮膚がんメラノーマに威力、腫瘍完全消失も

2020/11/26 10:41

投薬により体内から腫瘍がなくなったパグの頭をなでる水野教授(右)と飼い主の元山さん

 山口大共同獣医学部の研究グループが、犬の悪性黒色腫(メラノーマ)の抗体医薬を開発した。ヒトのがん治療薬「オプジーボ」と同じ働きがあり、同大動物医療センターの臨床試験では、既存の治療法では手の施しようがなくなった犬の腫瘍が完全に消失するケースも確認できた。症例を重ね、国の許可が必要な治験、そして市販へとステップアップを目指す。

 メラノーマは皮膚がんの一種。犬が発症しやすいがんで、口の中にできた場合は悪性度が非常に高い。肺に転移した「ステージ4」に進んだ場合、生存期間は3カ月以下とされる。

 研究グループを率いる水野拓也教授(獣医内科学)によると、がんを患う犬の体内では腫瘍細胞を攻撃するリンパ球が活発化するが、腫瘍細胞にはリンパ球が持つ分子と結合して攻撃にブレーキをかけてしまう機能がある。新薬はノーベル医学生理学賞を受けた京都大の本庶佑特別教授が開発に関わったオプジーボと同様、この結合をブロック。リンパ球は通常通り腫瘍細胞を撃退するという。

 新薬はマウスで作った抗体を遺伝子操作した。同センターで2017年からステージ4の犬15匹に飼い主の協力を得て投与したところ、4匹の腫瘍が30%以上縮小。うち1匹は完全に消失した。腫瘍に対し目立った効果が表れなかったケースでも余命が平均166日と大幅に延びた。このほか、他のがんを含む15症例では、皮脂腺がんと乳腺がんを併発した犬の腫瘍が一時的に縮小したという。

 山陽小野田市のパート社員元山美津江さん(45)の愛犬のパグは昨年7月から2週間に1回の投薬により口内のメラノーマと肺の腫瘍が完全になくなった。弱々しかった姿が一変、今では元気に突進してくるという。元山さんは「できる限りのことをしてあげたいと臨床試験に望みを託した。本当に良かった」と安堵(あんど)する。

 一方で、免疫が正常に機能しなくなる自己免疫疾患の副作用で肺炎になり死んだ犬も1匹いた。「全ての命を救えるわけではないが、少なくともメラノーマでは4分の1の割合で効果があり、生存期間の延長も確認できた」と水野教授。現在も20匹の臨床試験に向き合っている。

 臨床試験は、手術や放射線治療、抗がん剤では効果がなかった犬が対象。研究グループは希望者を電子メールで募っている。アドレスはmizutaku@yamaguchi-u.ac.jp(門脇正樹)


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