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民生・児童委員、引きこもり対応に苦慮 アンケートで1089人判明、松江で研修会
民生委員や児童委員が引きこもり状態の住民への対応に苦慮するケースが、島根県内でも深刻化している。県が昨年実施した両委員のアンケートで、引きこもり状態にある人は県内に少なくとも1089人いると判明。対応策を学ぶため、県民生児童委員協議会が松江市で開いた研修会で、現場の手詰まり感や行政のサポート強化を訴える声が相次いだ。
松江市のくにびきメッセであった研修会には民生、児童委員178人が参加。KJH全国ひきこもり家族連絡会理事で、当事者たちの実態を伝える著書を多く手掛ける池上正樹さんから、当事者や家族への寄り添い方、公的な支援策などを学んだ。
引きこもり傾向のある人が加害者や被害者になった事件などの取材経験を踏まえた池上さんの講義は約3時間半に及んだ。「仕事の話は本人が一番気にしているからNG」「動かそうとするのではなく、自ら動き出せる環境づくりを」―。具体的な接し方など分かりやすい解説に、参加者が真剣に耳を傾けた。
質疑応答では「『うちは大丈夫です』と言われて家の中へ入り込めない」「行政に解決のノウハウがない」といった切実な声が噴出。池上さんからは、あいさつ、雑談など地道な声掛けや地域でのちょっとした居場所づくりなどの助言があった。
県が昨年、県内の民生、児童委員1657人を対象に実施したアンケート(回収率83・1%)では、引きこもり状態にある人は1089人を数えた。71%が男性で、40%が10年以上継続。年代別では、40代が256人、50代が223人、60歳以上が210人を占めた。1人暮らしは10・2%でほとんどが家族と同居。高齢の親が中高年の当事者と生活困窮に陥る「8050」問題の深刻化も浮かぶ。
同協議会の住田達宣会長(67)=川本町=は「把握できていない事例は他にもあるはず」と強調。県内129地域の単位協議会で、引きこもり対策を重点活動に掲げるケースが広がっているとし、「本人や家族を孤立させないように地域で支えていくことが大事だ」と力を込めた。(松本大典)
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