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【尾道百景 坂のまち】<酢瓶の垣>路地裏に息づく商都(2002年4月18日掲載)
2020/11/30 17:51
傘を差した観光客が一列になって歩いていく。文学記念公園から延びる細い路地。そばの垣には、鉄さびのような色をした円筒形の陶器がずらりと埋め込まれている。30年ほど前まで使われていた酢を入れる斗瓶である。
昔は、町のあちこちで店頭に斗瓶を置いて量り売りをしていた。「オート三輪で運んだ。瓶だけでも10キロ、酢を入れると30キロぐらいになり、かなりの重労働だった」。創業四百年という尾道造酢の工場長丸尾好弘さん(59)が振り返る。
もともと商都として栄えた尾道では、酢は、いかりと並ぶ数少ない生産品だった。「尾道酢」として知られ、江戸時代には北前船で、遠く北海道にも運ばれた。最盛期の大正期に2、30軒あった醸造場も戦後、一軒、また一軒と姿を消した。
「今では3軒だけになった。しかし、一度使うと忘れられない尾道酢の味は、今も健在」。丸尾さんが力を込めた。
【尾道百景 坂のまち】
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