地域ニュース
被爆証言者の派遣、全国からニーズ 40件見込みに52件、修学旅行中止の影響か
2020/12/1 23:17
広島市中区の国立広島原爆死没者追悼平和祈念館は今月、原爆資料館(中区)の被爆体験証言者を全国の学校などに派遣する事業を始めた。国が年度末までの4カ月間で40件程度を見込んで予算化したが、すでに52件の申し込みがあった。新型コロナウイルスの感染拡大が収まらない中、祈念館は証言者の被爆者の意向を慎重に確認し、派遣先には感染予防策の徹底を呼び掛けている。
祈念館は2018年度、被爆の実態を伝えるため、市が養成した「被爆体験伝承者」と、被爆体験記や原爆詩を朗読するボランティアを全国に無料で派遣する事業を始めた。証言活動をしている被爆者の要望などを踏まえ、本年度から被爆者も対象に加えた。同館が旅費と謝礼を負担する。
すでに申し込みがあった52件のうち34件が12月中の派遣を希望。内訳は大阪府などの関西地方が24件と最も多く、埼玉県などの関東が4件、徳島県などの四国が3件と続く。初日の1日は、大津市など4カ所に派遣した。祈念館は、体験者から直接話を聞きたいとの要望や、広島への修学旅行を中止した学校からの申し込みが、件数を底上げしたとみている。
ただ、新型コロナの感染が広がっているため、原爆資料館の証言者38人に意向を聞き、感染に不安を抱く人は派遣対象から外した。12月は10人程度で対応する予定。派遣予定の被爆者が意向の再確認で辞退したケースもあり、一部で被爆体験伝承者の代替派遣などを検討している。
祈念館は派遣先の学校などに会場の換気や密集回避なども依頼している。祈念館を所管する厚生労働省原爆被爆者援護対策室は「体験者の証言を通じて被爆の実態を知りたいとのニーズは大きい。感染状況を見ながら、安全な形で進めたい」としている。(水川恭輔)
【関連記事】
あなたにおすすめの記事
同じ日のニュースの記事
-
山口県の島にコロナ疎開、島民困惑 キャンプ場客急増/道の駅に他県ナンバー [中国地方のニュース] (4/21)
-
尾道―三原間の木原道路、3月開通 生活や物流、大きく改善 [中国地方のニュース] (12/31)
-
漫画「朝霧の巫女」の舞台に石積み風トイレ 気鋭の建築家谷尻さん設計、故郷の太歳神社 [中国地方のニュース] (1/17)
-
呉・東広島の飲食店、協力金対象外に嘆きも 「差が大きすぎる」「休めない」 [中国地方のニュース] (1/15)
-
三次でコロナ感染急拡大 1月39人、新年会など3件のクラスターも [中国地方のニュース] (1/14)
測量の現場などで活躍する小型無人機ドローンのノウハウを共有する研修会が11月28、29の両日、三原市大和町の和木地域ふれあい交流センターであった。全国の技術者たちでつくる「フィールドサイエンスのため...
岩国市と山口県和木町の小中学生を対象に、夏休みの工作や研究を公募した科学振興展覧会の表彰式が、同市山手町の市民文化会館であった。特選を受賞した24人に市教委の守山敏晴教育長たちが表彰状を贈った。
広島市中区の国立広島原爆死没者追悼平和祈念館は今月、原爆資料館(中区)の被爆体験証言者を全国の学校などに派遣する事業を始めた。国が年度末までの4カ月間で40件程度を見込んで予算化したが、すでに52件...
新型コロナウイルス感染拡大の「第3波」が広がる中で迎えた忘年会シーズン。飲食業界にとって一年を締めくくる重要な書き入れ時だ。しかし、大規模な忘年会の開催を見合わせる企業が相次ぎ、広島県内の各店舗では...
広島市在住の外国人からの相談などに的確に対応するため、広島市は30日、職員向けの「やさしい日本語」研修を始めた。今月7日まで計4回開く。日常生活で相談窓口となる区役所や、災害時に関わりのある消防局の...