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飲食店、感染対策急ピッチ クラスター発生、岩国・麻里布地域と山口・湯田温泉街
夜に市民や観光客が集う岩国市の麻里布地域と山口市の湯田温泉街の飲食店で、新型コロナウイルス対策が急ピッチで進んでいる。ともに11月にエリア内でクラスター(感染者集団)が発生し、街全体に風評被害が広がっているためだ。書き入れ時の忘年会シーズンを迎え、各店が脇を締めて感染防止に努めている。
岩国市麻里布地域では師走に入っても閑古鳥が鳴いている。1日に半月ぶりに営業を再開したラウンジ「モンテカルロ」はカウンターに飛沫(ひまつ)防止のアクリル板を置き、マスクの上にフェースシールドを着ける接客スタイルに切り替えた。経営する堀江美枝子さんは「例年なら忘年会の予約が入っている頃なのに今年はゼロ。数人ずつでもお客が戻ってきてほしい…」。ため息をつきつつも前を向く。
山口県内に新型コロナの「第3波」が押し寄せた11月中旬、同地域では接待を伴う飲食店2店でクラスターが発生。県と市の一斉検査で15店70人に感染が拡大していたことが判明した。クラスターの2店では従業員のマスク着用が徹底されていなかった上、従業員や客が店舗間を頻繁に行き来していた。同業者が集まるイベントも複数回あった。
▽店に「気の緩み」
他の多くの店でも換気やマスク着用が徹底されていなかった。市内約390店が加盟する岩国駅前料飲組合の藤井義昭組合長(67)は「大都市と違って岩国での感染拡大はないだろうと気の緩みがあった」と打ち明ける。今後、市と連携して対策が確認できた店に認証ポスターを張る予定で「安心して飲める街をアピールする」と強調する。
バーを起点にしたクラスターで15人が感染した山口市の湯田温泉街でも対策が進む。同市は県庁や市役所、国の出先機関が集まる「公務員の街」。最大の得意客である県は職員に対し、夜に街へ出る際は消毒設備や密接を避けた配席などを徹底した県認定の「新型コロナ対策取組宣言飲食店」を使うよう促している。
宣言店の一つ「山口おでん燈(あかり)」は、春先から続ける入店時のアルコール消毒や検温に加え、個室の壁の上部を吹き抜けに改装して外気が行き届くようにした。客にはメニューをスマートフォンで注文できるアプリも勧める。店内が暖房で暖まったタイミングを見計らい小まめに換気。酔客が「寒い」と顔をしかめる中、店員たちは申し訳なさそうに出入り口の戸を開けている。
▽宣言店の登録増
店主の村上晃子さん(46)は「いろいろとお金がかかるけど、目に見える対策をした方が安心してもらえる。やり過ぎと言われても、感染者を出して周りの店に迷惑を掛けるよりはいい」と話す。
県によると、政府による飲食業界への支援策「Go To イート」が始まった10月以降、岩国、山口両市を中心に対策取組宣言飲食店への登録が急増。3日までに2377店が名乗り出た。県は全ての店名と取り組みを「膳力!安心!やまぐち飲食店応援サイト」で紹介し「店選びの参考にしてほしい」と呼び掛けている。(永山啓一、門脇正樹)
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