地域ニュース
【週末リポート 山本真帆】トラフグ養殖、赤潮で打撃 下松市笠戸島、8万7000匹が被害
下松、周南、防府市沿岸で今秋、赤潮が発生し、山口県東部で最大のトラフグの養殖地である下松市笠戸島が大打撃を受けた。稚魚を含む約8万7千匹が死に、ほぼ全滅。今季の出荷だけでなく、来季の見通しも立たない過去最悪の被害となった。地域の特産品としてブランド力を高める取り組みを立て直そうと、稚魚の購入費を募るクラウドファンディング(CF)が始まった。
▽予想を超える速さで拡大
笠戸島の漁師、東風浦(こちうら)秀美さん(53)の頭には、その光景が焼き付いている。9月19日から20日にかけて、茶色く濁った帯状の赤潮が一気にいけすに入り込み、酸欠状態になったフグが次々と白い腹を見せて浮かんできた。「なすすべがなかった」
県は17日に赤潮警報を出して注意を呼び掛けていたが、予想を超える速さで広がった。東風浦さんのいけすは大城岬近くに5カ所ある。約30センチの成魚と稚魚の計約1万1千匹が一晩で死んだ。生き残ったのは稚魚15、16匹だけ。「今年は夏場の育ちも良く、出荷まであと少しだったのに」と肩を落とす。赤潮警報は10月12日まで続いた。
県水産研究センター(長門市)は、赤潮を引き起こしたのは有害プランクトン「カレニア・ミキモトイ」と発表した。水面から水深20メートルの間を移動するため、海面の着色を見分けるのが難しいという。赤潮は窒素やリンなど海中の栄養塩や、水温の変化などで発生するとされており、同センターが今回の詳しい原因を調べている。
▽被害額7000万円、廃業の危機
(ここまで 636文字/記事全文 1302文字)

この記事の写真
あなたにおすすめの記事
同じ日のニュースの記事
-
駅伝強豪の世羅高陸上部、求む資金 OBらCF、町民高齢化で寄付減少
駅伝の強豪校として知られる広島県世羅町の世羅高陸上部のOB・OG会や後援会などが、創部74年目で初めてクラウドファンディング(CF)で活動資金を募っている。これまで練習環境の整備費や遠征費、ケニア人...
-
広島県議、コロナ対策財源確保の報酬カット終了 知事ら6人は再び実施
広島県議会は4日、新型コロナウイルス対策の財源を確保するためとして6月に始めた議員報酬のカットを、予定通り11月末で終えると確認した。他の道府県議会の動向などを踏まえたという。湯崎英彦知事は同日、自...
-
「裸の島」60年で映画祭 三原で上映やパネル、6日まで
三原市ゆかりの映画に親しむ「みはら映画祭」が5日、市芸術文化センターポポロ(宮浦)で始まった。来場者は新藤兼人監督が市内で撮影した「裸の島」「らくがき黒板」の上映や資料を集めたパネル展を楽しんだ。6...
-
「香木の森」集客へ新組織 島根・邑南の観光・飲食業者や住民タッグ
島根県邑南町の主要な観光施設、香木の森公園一帯で観光や飲食に携わる民間事業者や住民グループが、「香木の森再生プロジェクト」を設立した。ここ数年、観光客が減っていることから、公園の魅力づくりのためイベ...
-
イルミ点灯、幻想的 府中市の道の駅
府中市府川町の道の駅びんご府中を電球で彩るイルミネーションが5日夕、始まった。7回目の今回は、新型コロナウイルスの影響で落ち込む市内のにぎわいを取り戻そうと府中商工会議所に代わり市が主催。来年1月1...