地域ニュース
希望の職場探し、特別支援校が奮闘 コロナ感染対策し検定
新型コロナウイルスの影響で雇用情勢が悪化する中、県内の特別支援学校が生徒の就労支援に奮闘している。感染対策をしながら仕事の適性を見つける技能検定をしたり、就職支援教員(JST)が実習・就職先を探したり。希望をかなえるための奔走が続く。
広島市安佐北区の広島特別支援学校では11月26日、1〜3年の7人が清掃の技能検定に挑んだ。合間に教諭がほうきやちりとりを消毒。生徒はそれぞれ、丁寧に床のごみをはいた。
検定は、知的障害がある高等部の生徒を対象にした県独自の制度。5分野11種目で1〜10級がある。ほうき種目を受けた2年山下和将さん(16)は「掃除や袋詰めの作業が好き。頑張って1級を取りたい」と話す。
通常は各種目で年2回検定をしているが、コロナ禍の今年は1回だったケースもある。矢野清美高等部主事(52)は「チャンスが減った分、生徒はじっくり取り組んだ」と説明する。
就職活動にもコロナの影響が出ている。同校高等部では、知的障害がある3年生のうち8人が就職を希望しており、5人が11月末までに内定を得た。ただ、例年は4月から就職を見据えて企業で実習をするのに、今年は臨時休校で6月中旬以降になるなどスケジュールが遅れている。
生徒は1年の時から適性や企業との相性を探って就職先を考えて3年時の実習に臨むが、業績悪化で実習を断られて就職先を探し直すケースもあるという。同校JSTの川手栄二さん(60)は「情報収集と企業へのアタックを繰り返し、何とか生徒の希望する仕事をさせたい」と力を込める。
県内には県立で16校、広島市立で1校の特別支援学校がある。県教委によると、各校とも同様にコロナ禍での就労支援に力を注いでいるという。
県内の特別支援学校の就職率は2020年3月の卒業生で38・0%となり、9・8%で全国最下位だった06年3月と比べて28・2ポイント上がった。県教委特別支援教育課は「卒業生は、働きぶりの評判が良い。今年も各校の努力で就職率を維持したい」としている。(赤江裕紀)
あなたにおすすめの記事
同じ日のニュースの記事
-
広島市、一部ごみ市外へ 焼却場火災2週間続く、市民に「減量を」 [中国地方のニュース] (1/21)
-
山口県の島にコロナ疎開、島民困惑 キャンプ場客急増/道の駅に他県ナンバー [中国地方のニュース] (4/21)
-
福山道路、進む整備 県道と連絡、完成心待ち [中国地方のニュース] (12/31)
-
80万人PCR「1、2カ月かかる」 広島知事、ホテル療養が基本 [中国地方のニュース] (1/19)
-
ニホンリス、庄原で確認 広島県内で「絶滅」、死骸見つかる [中国地方のニュース] (1/19)
新型コロナウイルスの影響で雇用情勢が悪化する中、県内の特別支援学校が生徒の就労支援に奮闘している。感染対策をしながら仕事の適性を見つける技能検定をしたり、就職支援教員(JST)が実習・就職先を探した...
中米やアフリカに派遣された経験がある国際協力機構(JICA)の元海外協力隊員3人が12日、広島市中区のホテルでそれぞれの活動を振り返った。県青年海外協力隊を育てる会(同区)が開き、会員たち約20人が...
本年度の新聞協会賞の受賞記者講演会が12日、横浜市中区のニュースパーク(日本新聞博物館)であった。中国新聞社の連載「ヒロシマの空白 被爆75年」「ヒロシマの空白 被爆75年 街並み再現」を担当したヒ...
岩国市阿品地区の特産品「阿品たくあん」の漬け込みが始まった。少子高齢化で年々減っている地元の農家たちが、60年続く伝統の味を守ろうと、丹精込めて作業をしている。 9日の作業初日は、加工場に15人が集...
広島市での新型コロナウイルス感染者の急増を受け、広島県の集中対策期間が始まった12日、市中心部では年の瀬の繁華街を多くの家族連れや若者たちが行き交った。外出機会を減らすなどの求めを知らない人も。一方...