【回顧2020 中国地方から】<1>金権政治 河井事件で混乱の渦
新型コロナウイルスの感染拡大に振り回された2020年。「政治とカネ」を巡る疑惑が相次いで噴出し、首相の電撃辞任で政界は揺れた。災害は各地で発生し、地域経済を担う製鉄所の閉鎖発表で激震が走った。記憶に刻まれる中国地方の一年を振り返る。
「終わらせよう金権政治」―。今月初め、広島市中区の本通り商店街で市民団体「河井疑惑をただす会」の会員が横断幕を掲げて、買い物客たちに賛同の署名を呼び掛けていた。
地元政界を混乱の渦に巻き込んだのは元法相の河井克行被告(57)=衆院広島3区=と妻案里被告(47)=参院広島。6月18日、案里被告が初当選した昨年7月の参院選広島選挙区で広島県議や市議、首長らに現金を配ったとして逮捕された。閣僚経験者の逮捕は02年の鈴木宗男氏以来で、法相経験者は初めてとみられる。7月8日に起訴された。
▽東京で百日裁判
両被告の公判は、100日以内に判決を出すよう努める「百日裁判」として8月25日に東京地裁で始まった。両被告は「県議選や市議選の当選祝いだった」などと主張し、買収目的を否定。無罪を訴え、検察との全面対決の構図となった。
公判は週3、4回のペースで開く予定だったが、順調には進まなかった。克行被告は「過密な公判日程」などに不満を募らせ、9月に弁護人6人全員を解任。両被告の公判は分離され、案里被告の公判だけが続き、克行被告の公判再開には1カ月以上かかった。
両被告から違法な現金を受け取ったとされる被買収者は100人。そのうち、県議や市議などの地方政治家が40人を占める。9月以降、両被告の公判に検察側の証人として順次出廷。両被告から買収目的の現金を受け取ったと認め「政権中枢にいた克行議員に突き返せなかった」「返そうと思ったが、機会がなかった」などと釈明した。
現金を受領した政治家に対し、有権者は厳しい視線を向けた。三原、安芸高田の両市長と安芸太田町長が辞職し、安芸高田市議会と府中、北広島両町議会の議員5人が相次いで議員を辞めた。呉、江田島の両市議会はそれぞれ市議1人に辞職を勧告した。
広島市議会は13人に説明を求める決議を可決した。一方で、県議会は被買収議員13人の責任を追及する決議案の提出を見送り、中本隆志議長が事実関係の説明を求める文書を送った。
▽被買収疑い告発
公選法では、現金を受け取った側も被買収として罪に問われるが、検察当局は河井夫妻から現金を受領したとされる100人の刑事処分をしていない。専門家からも検察当局の対応を問題視する意見は多い。「河井疑惑をただす会」は9月、この100人について公選法違反(被買収)の疑いで広島地検に告発状を提出した。県議会の全8会派には県議会政治倫理条例に基づく政治倫理審査会を設置するよう文書で求めた。
令和の時代になっても、水面下で選挙を巡る金銭のやりとりが続く現実を露呈した大規模買収事件。金権政治と決別し、県民の信頼を回復できるのか―。政治家は、その青写真すら描かないまま年を越す。(中川雅晴)
<クリック>河井夫妻の大規模買収事件 検察当局によると、昨年7月の参院選広島選挙区で河井案里被告を当選させるため、夫の克行被告が同3〜8月、地方議員や後援会員ら100人に計2901万円を渡し、うち5人は案里被告と共謀して計170万円を渡したとされる。同選挙区では案里被告が、自民党現職溝手顕正氏と野党系の無所属現職森本真治氏に挑む構図で、激戦の末、森本氏と案里被告が当選し、溝手氏は落選した。自民党本部が参院選前に河井夫妻側に計1億5千万円を提供していたことも批判を集めている。
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