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救急の「とりで」危機 広島市民病院、新型コロナ感染の影響拡大懸念の声

2020/12/16 23:16

職員や患者の新型コロナウイルス感染が確認された広島市民病院。救急車の受け入れや手術がストップした=16日、広島市中区(撮影・河合祐樹)

 広島都市圏の救急の「最後のとりで」の危機だ―。広島市民病院(中区)の職員と患者計5人の新型コロナウイルス感染と、手術と救急搬送の受け入れ中止が判明した16日、市内の医療関係者たちに緊張が走った。広島県内で最も多くの救急搬送を受け入れる基幹病院の機能縮小。影響の長期化を心配する声が相次いだ。

 この日、広島市民病院でがんの手術を受ける予定だった男性(67)は朝、突然、主治医から手術の延期を伝えられ、退院を求められた。替わりの手術日も年明けまで決まらない。「医療崩壊は対岸の火事じゃなく身近に迫っている。初めて実感した」と驚く。

 救急搬送の受け入れがストップしたのは15日夕。県も夜には、全県の消防本部に事態を伝えた。広島市内のある病院は一報を受けて救急搬送の受け入れの増加に備え、スタッフをすぐ呼び出せる体制を敷いた。職員は「初日はそれほど搬送がなかったが、この状態が続くと困る」と明かす。

 広島市民病院が受け入れる救急搬送は年間約7千人。搬送先がなかなか見つからない患者を引き受ける「とりで」の役割を担ってきた。特に今年は、新型コロナの感染者に対応する他の病院の分まで、救急を率先して引き受けてきた。

 搬送受け入れ数が県内2位の県立広島病院(南区)の板本敏行副院長は「夜間に緊急手術のできる病院は限られ、特に内科は市民病院に頼る部分が大きい。うちもできるだけ頑張るが、搬送の受け入れ困難例が増える可能性がある」と危惧する。市民病院で感染が発生する前から、重症患者や急変した新型コロナ患者の対応のため、一般の救急を断らざるを得ないケースが出ているという。

 「ついに出たか」と漏らすのは、広島市医師会の佐々木博会長。「年末年始も真夜中の診療に応じてくれ、市民の安心に欠かせない病院。早く万全の体制に戻してもらうことを願うばかりだ」と話した。

 市民病院のスタッフの疲弊を気遣う声も上がった。市内のある病院長は「相手は見えないウイルス。あした、うちで発生してもおかしくない。精神的なダメージの大きい職員を、中傷などで疲弊させないでほしい」と強調する。県医師会の常任理事を務める広島市民病院救命救急センターの西野繁樹センター長は「地域の救急を支える役割をしっかり果たすため、できるだけ早く体制を立て直したい」と語った。(衣川圭、田中美千子) 


【グラフ】広島県の新型コロナウイルス感染者数と医療提供状況

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