寒さしみる広島市中心部 県時短・休業要請の週末 新型コロナ
新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない広島市は19日、政府の観光支援事業「Go To トラベル」が一時停止されて初の週末を迎え、市中心部の人出はめっきりと減った。新規感染者数はこの1週間で3回、最多を更新。繁華街では営業時間の短縮や臨時休業を知らせる貼り紙が目立ち、外食を避けて短時間で引き上げる人の姿もあった。にぎわうはずの年の瀬にコロナ禍が影を落としている。
「感染リスクもあるし、外食はしない。このまま帰るつもり」。中区の本通り商店街を昼前に訪れた安佐南区のパート従業員女性(62)はこう話し、駆け足で買い物を済ませた。呉市からクリスマスプレゼントを買いに来たという大学生女性(19)は「広島市での感染拡大の対策で消毒液を持ち歩いている」と明かした。
政府は16日、GoToトラベルで、広島市を目的地とする旅行への割引適用を一時停止した。全国の一時停止に先立つ形。中区の原爆ドームを訪れた愛知県岡崎市の附柴英昭さん(81)は「出発前まで悩んだが、食事をコンビニ弁当で済ませるなどしている。コロナ禍が落ち着いたら家族でまた来たい」と収束を願った。
NTTドコモの調査によると、19日の中区紙屋町の人出は感染拡大前(1月18日〜2月14日)の休日平均と比べて22・2%減。2週間前の5日(9・0%減)と比べて落ち込み幅が広がった。JR広島駅(南区)は9・1%減で、同じく5日(2・2%減)を大幅に下回った。師走の人波は週を追うごとに減っている。
例年なら年末年始用の買い出しや忘年会の客でにぎわう市中心部の繁華街。今年は、酒を出す飲食店に広島県が17日からの営業時間短縮や休業を要請したのを受け、店舗には臨時休業などの貼り紙が目立つ。
中区大手町のお好み焼き店は時短営業をしている。切り盛りする平間千恵子さんは「忘年会の予約は全てキャンセル。昨夜はお客さんが誰も来なかった。いつもは繁盛する時季なのに…」とこぼした。
市内では12月に入って感染拡大が加速した。1日当たりの新規感染者数は12日の78人以降、過去最多の更新が続き、17日には94人に達した。県は集中対策期間(12日〜来年1月3日)を定めて市民に外出を減らすよう要請。県市の医師会は「医療は崩壊し始めている」として、不要不急の外出自粛を呼び掛けている。(和多正憲、石井千枝里)
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