【回顧2020 中国地方から】<7>被爆75年 核禁条約・援護、国に迫る
「核兵器禁止条約発効まであと28日」―。広島県被団協(坪井直理事長)の箕牧(みまき)智之理事長代行(78)は24日夜、北広島町の自宅に設けた「カウントダウンボード」の数字を翌日用に張り替えた。条約が発効される来年1月22日に向け、胸が高まる。
被爆75年の今年、広島の被爆者たちは核兵器廃絶と被爆者援護を巡る新たな動きを、新型コロナウイルス禍の中で聞いた。
禁止条約の発効要件となる批准国が50に達したのは10月24日。2017年7月に国連で採択されてから約3年3カ月かかった。核兵器の非人道性を強調し、使用や保有などあらゆる活動を禁じているが、核兵器保有国は批准しておらず法的効力も及ばない。
それでも被爆者団体や国内外の反核団体は、多くの国が署名、批准すれば国際規範として定着し、核軍縮を迫る道徳的な圧力になると期待する。
参加すれば大きな力になりうるのが、被爆国の日本政府だ。しかし、今年8月6日の平和記念式典に参列した安倍晋三首相(当時)は、あいさつで禁止条約に言及しなかった。オブザーバーとして締約国会議へ出席するよう求める声に対しても、米国の「核の傘」を求める政府は「慎重に見極める」と繰り返している。
箕牧さんは「政府に参加を求める運動を強めたい」と力を込めるが、新型コロナ対策のため署名活動なども縮小せざるを得ない状況だった。広島市主催の平和記念式典も、参列者が例年の10分の1の約800人に制限された。
政府の被爆者援護施策を巡っては、期待と落胆が入り交じった。原爆投下後の「黒い雨」に国の援護対象区域外で遭い、健康被害を訴える原告84人が被爆者健康手帳の交付を求めた訴訟。広島地裁は7月29日、原告全員への手帳の交付を命じた。
被告の市と県は政府に控訴断念を求めたが、国が援護対象区域について「拡大も視野に入れた再検討をする」との姿勢を示したため控訴した。11月に始まった再検討の専門家会議でも、区域の拡大につながるかどうかは見通せていない。
控訴審で、被告側は内部被曝(ひばく)の影響を加味すべきだとした地裁判決を批判している。もう一つの県被団協の佐久間邦彦理事長(76)は「政府が内部被曝の危険性を認めないのは、核兵器の非人道性に基づく禁止条約に背を向ける姿勢に通じる。被爆地から変えさせないと」と話す。
被爆者の平均年齢は3月末時点で83・31歳。世界で約1万3千発に上るとされる核兵器の廃絶も「援護の空白」の解消も、一日も早い実現が求められる。延期された核拡散防止条約(NPT)再検討会議も開催される21年。被爆国の役割が引き続き問われる。(水川恭輔、松本輝)=おわり
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