「疑わしきは検査」早期発見 コロナ感染最少の鳥取・平井知事に聞く
新型コロナウイルスの感染が全国で急激に拡大する中、鳥取県は感染確認数を全国最少、人口比でも最少クラスに抑え、死者も島根県と並びゼロを続ける。早期検査などの取り組みについて、全国知事会の緊急対策本部長代行や政府分科会メンバーも務める平井伸治知事に聞いた。(小畑浩)
▽即時入院、死者ゼロに貢献
―新型コロナに、どのように対応してきましたか。
鳥取県は中国5県で最も医療態勢が脆弱(ぜいじゃく)で、重症化しやすい高齢者も多い。危機感から医師会や看護協会に頭を下げ、貴重な備蓄のマスクを提供した。対応病床数や、PCR検査可能数を人口当たりで全国でも多い水準に増やした。1日120検体だった検査可能数は、今は約4800検体だ。
11月に始めた、かかりつけ医による診療・検査医療機関は、9割に引き受けてもらった。小さな県の特徴を生かして結束できた。
―検査強化については。
陽性者が見つかれば、初動で検査をローラー的に実施する。検体採取の日に検査結果を出し、その日のうちに濃厚接触者も検査に回して、夜中に結果を判明させる。厚生労働省は2月、中国・武漢滞在歴や4日間の37・5度以上の熱など厳格な要件を付けたが、逆らって「疑わしきは検査する」と決め、医師が認めれば検査するよう基準を緩めた。感染力が強い発症日前後など早期に見つけ、封じ込める態勢ができた。
―感染者の行動歴や接触者を調べる保健所のパンクが問題となっています。
大都市部では保健福祉部局と他部局、東京都と23区など行政の間の縦割りが壁となっている。鳥取県は感染者が出れば、保健所を持つ鳥取市も含め40人規模の応援を保健所に出し、疫学調査や電話相談を支え、検査をさばく。生活環境や農林など他の部門からも専門職を派遣し、可変性のある組織運営をしている。
―死者ゼロの要因は。
全員がすぐ入院できる態勢を確保しており、まず肺や血液の酸素を調べる。比較的簡単に状態が分かる。よく「元気な人が急に亡くなる」と言われるが間違いだ。必ず軽症から中等症、重症へと経過をたどる。
大都市部で、入院させない基準づくりが評価される風潮は残念だ。感染症の指定を2類相当から(インフルエンザと同じで入院勧告や隔離が不要の)5類に落とせという議論があるが、大都市の医療崩壊寸前の状態を全国に拡散することになる。早期検査、早期入院、早期治療というどんな病気でも同じ鉄則を守ることが、死者を出さない道だ。
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