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クレアライン全通25周年「ネット通販対応の力に」

2021/1/3 19:18

呉市(手前)と広島市をつなぎ、山裾を縫うように延びるクレアライン。全線4車線化が決まっている(撮影・荒木肇)

 今年は広島呉道路(クレアライン)の全線開通から25周年となる。中核市の呉市と中国地方最大の都市広島市を結び、物流や観光を支える大動脈。2018年夏の西日本豪雨で被災し、寸断された経験を踏まえ、全線の4車線化も決まった。インフラとしての存在感はますます高まっていく。

 ▽呉の物流や観光支える

 山あいの町や山裾を縫うように走るクレアラインは、全長15・9キロの有料道だ。呉インターチェンジ(IC、呉市)から坂北IC(広島県坂町)までの12・2キロを暫定2車線、残りの仁保IC(広島市南区)までを4車線で運用。1日平均の通行台数は近年、3万台後半で推移している。

 「人や物の流れが加速した。呉の経済発展に大きな役割を果たしている」。広島経済同友会呉支部長で、誠和梱枹運輸(呉市)の畦(うね)淳造社長は強調する。総合物流企業として「ネット通販の普及に対応する大きな力にもなった」と実感を込める。

 観光振興の面でも貢献は大きい。広島市を経由する団体客などを迎えてきた大和ミュージアム(呉市)の戸高一成館長は「クレアラインがなければ来館者は伸び悩んだだろう」とみる。通勤など市民の日常も支える。

 クレアラインは、渋滞が深刻化していた国道31号のバイパスとして構想され、1989年4月に呉IC―天応IC(同)間の6・3キロが開通。96年8月、仁保ICまでの全線が開通した。

 96年度の1日平均の通行台数は2万8300台。2000年度に仁保ジャンクション(JCT)と広島高速3号が接続され、3万台に伸びた。無料化の社会実験があった10年度は5万台に達した。

 転機となるのが、18年7月の西日本豪雨だ。坂町水尻地区の道路が崩落するなどで84日間にわたり利用できず、物流や通勤に大きな支障が出た。災害に強い道路を目指して4車線化の機運が高まり、19年3月に国の許可が出た。

 4車線化は、21年6月までに工事発注を予定。着工や完成の時期は未定だが、「大動脈」がいっそう太くなる日は遠くない。呉高専の神田佑亮教授(交通マネジメント工学)は、大都市側へ人口や産業が吸収される傾向にも触れ「広島市との共存共栄へ向けた、呉市の都市戦略の重要性が高まっている」と指摘する。(東谷和平)

 ▽災害に強い交通網願う 全通当時の市長・小笠原さん

 クレアラインは構想から全通まで約30年かかった。排ガスなどによる環境悪化を懸念する沿線住民たちとの調整が難航したものの、課題を乗り越え実現。全通した1996年当時、呉市長だった小笠原臣也さん(85)に当時の状況や今後への期待を聞いた。

 整備される前、呉市と広島市をつなぐ国道31号は朝晩激しく渋滞し、到着時間が読めなかった。93年11月に市長に就任する直前の7月、豪雨による土砂崩れで道路が寸断され、呉は「陸の孤島」になった。円滑で安全な交通の必要性を感じ、就任して一番に力を入れた。

 ルート設定などを巡って反対する住民も多く、整備には時間を要した。国の予算は一つの事業を終えないと次の予算が付きにくく、国道185号の休山トンネル、東広島呉道路など、他の道路整備の遅れの原因になった。この点は残念だ。

 西日本豪雨で崩落した姿を見た時はショックを受けた。4車線化はぜひ必要だ。無料化が遠のいたマイナス面はあるが、災害で使えなくなったら意味がない。強い交通網を生かし、観光客の呼び込みや企業誘致につなげてほしい。

 ≪クレアラインの通行料≫呉IC―仁保IC間の通常料金は普通車で940円。全通当初は同900円だった。「日常的に使うには高い」との批判は絶えないが、管理、運営する西日本高速道路中国支社(広島市安佐南区)は、4車線化の事業費約740億円の償還へ向け、この料金体系を維持する考えだ。償還終了は2063年を見込む。

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  • クレアラインの歩みを振り返る小笠原さん

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