【中国地方の今年の選挙】<上>広島県知事選 現職は4選に胸中複雑
▽首長・議員 76選挙
中国地方5県では2021年、地方選挙として76選挙(首長選33選挙、議員選43選挙)が予定されている。5県別は広島13選挙、山口12選挙、岡山17選挙、島根19選挙、鳥取15選挙。新型コロナウイルスの感染収束の兆しが見えない中、立候補を予定する各陣営は準備を進めている。広島県内である知事選や呉市長選、坂町長選など五つの首長選をはじめ、柳井市長選や松江市長選など自治体のトップを決める主な選挙を、2回に分けて展望する。
【広島県知事選】現職、多選の弊害自ら認識
現職の湯崎英彦氏(55)が、4選を目指すかどうかが最大の焦点となる。多選の弊害を自ら認識。11月28日の任期満了を前に、進退の表明時期を含めて明言していない。
湯崎氏は20年12月1日の記者会見で、在任期間が長ければ一貫した施策を打てる利点があると前置きしつつ、「多選のマイナスの方が大きいなら立候補しない」と述べた。弊害として「行政機構としての考え方が固定化される」と指摘。複雑な胸の内を明かした。
13年の再選、17年の3選への挑戦は、いずれもその年の6月に県議会本会議で表明してきた。判断時期については、20年12月3日の中国新聞のインタビューで「悩ましい」と吐露。「出るなら任期満了に近くてもいいけど、近づいて出ないというと迷惑を掛ける」と率直に語っている。
湯崎氏はフラットな物言いに終始するが、県議会内で退任を予測する声は今のところない。
「パフォーマンス先行で政策の中身を伴っていない」(中堅県議)などの批判や、3期12年となる湯崎県政への「飽き」がなくはないが、目立った失点はない。湯崎氏の県政運営を支える自民議連、民主県政会、公明党議員団の主要3会派の県議の間では「湯崎氏自身の判断を待つしかない」との意見が大勢だ。
ただ、20年末から新型コロナの感染が広島市を中心に県内で急拡大し、東京都や大阪府の知事と並んで湯崎氏の指導力と発信力が問われる局面が増した。対策の成否も4選挑戦の鍵を握りそうだ。
09年の知事選から3度、独自候補を公認、推薦してきた共産党の県委員会は今回も擁立を目指している。(岡田浩平)
【呉市長選】現職・新人一騎打ちか
11月18日に任期満了を迎える現職の新原芳明氏(70)は進退を明らかにしていないが、2期目を目指すとの見方が強い。前回選で立候補した元衆院議員の三谷光男氏(61)は、表明はしていないものの次期選挙へ準備を進める。ほかには目立った動きは見られない。
新原氏は、市内で大きな被害が出た18年7月の西日本豪雨の復旧復興などに力を注いできた。一方で、旧そごう呉店を含むJR呉駅周辺の再開発など、経済振興策の本格化はこれから。完了していない政策に責任を持たなければならない、との考えを示している。
三谷氏は、4人が立候補した前回選で、当選した新原氏と約9千票差の3位だった。19年の埼玉県知事選や20年の三原市長選の候補者支援に携わった後、20年秋から地元の支援者や知人へのあいさつ回りを進め、現市政に対する受け止めを聞き取るなどしている。
市は、日本製鉄瀬戸内製鉄所呉地区の23年9月末をめどとする閉鎖方針や、呉駅周辺の再開発、少子高齢化への対応などが大きな課題となっている。次の4年間を担う市長は、とりわけ地域経済再生への手腕が問われる。(杉原和磨)
【庄原市長選】現新2氏の争いか
3期目を目指す現職の木山耕三氏(66)と、新人で元広島市職員の伊井啓太氏(34)が立候補を表明した。2人の一騎打ちとなる可能性が高まっている。
木山氏は20年10月、後援会役員会で立候補する考えを示した。比婆牛のブランド化や庄原赤十字病院の産科再開など「庄原いちばんづくり」をキャッチフレーズとする2期の政策の実績と今後の展望を強調し、支援を広げる戦略を描く。
広島県議を3期12年務めており、自民党県連の推薦を得た。今後は新型コロナの感染状況を見極めながら、後援会支部単位でのミニ集会の開催などを探る。
伊井氏は20年11月に記者会見を開き、立候補すると発表した。「誰もがしあわせを実感できるまち」を理念に掲げ、開かれた市政、子育て支援などを政策の柱に据えている。12月以降は街頭に立ち、地域や企業へのあいさつ回りを重ねる。
後援会の組織づくりを進めているほか、同世代の若者が草の根型で支える動きが出ている。市議会会派でつくる政治団体「地域政党きずな庄原」が推薦する。(小島正和)
【坂町長選】現職8選へ立候補表明
現職の吉田隆行氏(68)は20年9月の町議会定例会で、8選を目指して無所属での立候補を表明した。現時点でほかに立候補を表明した人はいない。
町長選は、前町長時代の1985年から無投票が続く。吉田氏は「新たな熱意と情熱を持って、町政運営に当たりたい」と強調する。甚大な被害を受けた西日本豪雨災害からの復旧・復興や若い世代の定住促進などが焦点となりそうだ。(石井雄一)
【北広島町長選】現職以外の動きはなし
現職の箕野博司氏(65)は20年9月の町議会本会議で3選を目指して無所属での立候補を表明した。現時点では、ほかに立候補の動きは出ていない。
箕野氏は「将来につけを回さないため、課題解決へ全力で取り組む」とし、財政改革や光ファイバー網の整備などを進める意向を示している。約646平方キロに1万8千人余りが暮らす町の人口減少対策や活性化への方策が問われる。(山田太一)
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