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ナベヅルの里、営み脈々 周南市八代

2021/1/5 13:58

 本州唯一のナベヅルの越冬地として知られる周南市東部の八代盆地。80年前に300羽を超えた飛来数は近年10羽前後に落ち込むが、ツルを保護する活動の歴史は国内で最も古く、世代を超えた取り組みが脈々と続く。地域にはツルの保護に向け観察、学習できる施設があり、毎年、山口県内外からたくさんの見学者が訪れる。(山本真帆)

 ▽明治から保護 近年移送も

 ナベヅルが八代盆地に集まるようになったのは明治期の初頭ごろとされる。全国で食用や衣料用にツルが乱獲される中、八代盆地では住民同士が捕獲禁止を申し合わせ、県令で捕獲禁止、禁猟区の指定を受ける成果を上げた。

 周南市教委によると、記録が残る最多の飛来数は1940年の355羽。以降、70年代後半までほぼ100羽を超えていたが、78年以降は急激に減少し2006年に初めて10羽を切った。危機感を持った市は同年、ツルの国内最大の越冬地、鹿児島県出水市から保護ツルの移送事業を始め、これまでに20羽が放鳥されている。

 八代が特別天然記念物「八代のツルおよびその渡来地」に指定されたのは55年。63年にはツルの行動を見守る監視員を置く周南市野鶴(やかく)監視所が開設され、その後にできた鶴いこいの里交流センターとともに、全国に八代のツル情報を発信する拠点となっている。

 ▽情報発信や供養 拠点の3施設

 ■周南市野鶴監視所

 ナベヅルが飛来する時季(10〜3月)に開く見学施設。監視員3人が交代で毎日、保護区の田んぼにツルが降り立ち、ねぐらに帰るまで一日の動きを見守る。モニターにツルの様子をリアルタイムで映すほか、過去の飛来写真などで歴史をたどれる。

 ■市鶴いこいの里交流センター

 1994年開館。1階の展示室にはナベヅルの生態や八代との関わりなどを紹介するパネルが並ぶ。他県の小中学生や見学者が立ち寄り、保護活動への理解を深める学習拠点となっている。市民センターの役割も兼ね、会議室や調理室、そばには運動場もある。

 ■鶴の墓

 1887年、住民の陳情運動により、ツル捕獲禁止の県令が出されたのを機に、狩猟で死んだり、傷ついたりしたツルを祭るために建てられた。住民団体が主催する慰霊祭は約30年以上続き、ツルの冥福と越冬中の無事を祈る行事として地域に根付いている。

 ■体長100センチ 飛来に20〜40日

 体長は約100センチ。灰黒色の体で首から上は白、赤い頭頂が特徴の渡り鳥。繁殖地であるシベリアから約20〜40日かけて八代盆地にやって来る。例年、第1陣は10月下旬ごろに飛来する。毎朝、山あいのねぐらから市野鶴監視所周辺の田んぼにある餌場に移動。麦や川辺のドジョウなどをついばみ、成鳥が幼鳥を育てる様子が観察されている。3月下旬ごろに北帰行を始める。

 ▽児童のナベヅル日記、ほのぼのタッチ…
(ここまで 1159文字/記事全文 2370文字)

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この記事の写真

  • 市野鶴監視所
  • 市鶴いこいの里交流センター
  • 鶴の墓
  • 八代小の児童が30年間、紡いできた「つる日記」。ツルへの愛情が世代を超えて受け継がれる(撮影・山下悟史)
  • 「ツルよ来い」―。飛来を心待ちにする児童の顔に笑みがこぼれる
  • 「一羽一羽が本当にいとおしい」とナベヅルの撮影をライフワークにする竹林さん
  • 竹林さんが今季撮ったナベヅルの親子
  • 「赴任して1年、地域のナベヅルへの愛着の深さを実感する毎日」と話す守田所長
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