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観光地疲弊、先行きは GoToトラベル停止延長、中国地方で高まる不満
政府が7日に発令した首都圏の緊急事態宣言と、「Go To トラベル」の停止延長決定を受け、中国地方の観光地で先行きへの懸念が深まりつつある。数日間の臨時休館を検討するホテルも。新型コロナウイルスの感染が急拡大する中、後手にも見える政府の対応に「なぜもっと早く動けなかったのか」と不満の声も高まる。
「今から観光地はどうなるのか心配」。世界遺産の島・宮島のホテル「みや離宮」の西本剛司・予約販売マネージャーは述べる。
感染拡大で旅行の自粛が広がり、昨年の大みそかの宿泊客は例年の半分以下。元日は8割以上も減った。その後も予約キャンセルが相次ぐ。コスト縮減のため、今月に5日間予定していた休館日を10日間に増やす方針でいる。西本マネージャーは「GoTo停止でさらに(緊急事態宣言の期間である)1カ月もこの状態なら厳しい。なんとか前を向かなければ」と語る。
▽近隣も見込めず
錦帯橋のある岩国市でも打撃が広がる。30代の旅館経営者は「年末年始のGoTo中止で450件、2500万円分のキャンセルが出た。今回の停止継続でさらに300件はキャンセルが出そう」とうなだれる。同市の別の旅館の50代社長は「先行きが見通せない。春先までもたないかもしれない。店をたたむべきか、金策をするべきなのか分からない」と険しい表情で話す。
昨年春の緊急事態宣言の時と異なるのは、広島市などでも感染者が急増し、近隣から集客が今後見込みにくい点だ。このため行政も「すぐ打てる手がない」(廿日市市観光課)という苦しい状態だ。
感染抑制と経済回復の二兎(と)を追う戦略で進めてきたGoTo事業。政府は昨年12月中旬まで、GoToが「感染拡大につながっているというエビデンス(証拠)はない」とのスタンスだった。
政府の対応について、中国地方の観光地からは「誰も現在の状況を予期できず、仕方ない」とする声が出る一方、「国民を守る危機感が乏しい」「もっと早く対応が必要だったのでは」との意見も上がる。
▽「企画練りたい」
新型コロナの感染拡大が続けば、今後、緊急事態宣言の対象が全国各地に拡大する可能性もある。
尾道国際ホテル(尾道市)の寺岡靖治支配人は「GoToで忙しくなったと思ったら、今回の停止で約800人分のキャンセルを処理した。問い合わせの電話も相次ぎ、スタッフは精神的に疲れ果てている」と打ち明けた上で、「これまで1人も退職勧告をせず、雇用を維持してきた。コロナ対応に取り組みつつ、コロナ後を見据え、集客の企画を練りたい」と力を込めた。(東海右佐衛門直柄、森田晃司、坂本顕)
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