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行動歴・経路、公表せず 岩国基地コロナ急増、市議ら「情報開示を」
岩国市の米軍岩国基地で新型コロナウイルス感染が急速に広がっている。昨年末から14日間連続で感染者が確認されるなど累計の感染確認は13日現在、143人。うち半数以上がわずか2週間で判明し増加ペースが際立つ。だが要因について基地側から市民に伝わるかたちの説明はなく、市議会からは「積極的な情報開示を求めるべきだ」との声も上がっている。
12日にあった市議会の新型コロナ対策特別委員会。「基地の感染者が多い。隔離されていない感染者が市中を歩いているのではないか」「情報の透明性は確保されているのか」。基地に批判的な議員だけでなく市が掲げる「基地との共存」に理解を示す議員からも不安の声が相次いだ。
人口約13万人の岩国市内の感染確認は13日時点で168人。人口が1万人超とされる基地内で人口当たりの累計感染者の割合は市内の10倍近くになる計算だ。9、10日には基地で働く日本人従業員と家族計5人の感染が判明。感染拡大が市民生活に影響を及ぼしている可能性がある。
ある基地関係者は「クリスマス前後で広島県のほか、遠くは長野県まで家族やグループでスキーに出かける人がいた。ホームパーティーを開く人も多く、明らかに感染対策が緩んでいた」と打ち明けた。
基地は3日に更新した公式フェイスブックで「ここ数週間で(感染対策の)シールドを下げた結果、基地内で新たな感染例が発生した」と、対策に緩みがあった事実は認め、25日まで他の家族との接触を1人に限定するなどの対策強化を打ち出している。
しかし、基地からの情報は乏しい。市民が感染した場合、県はプライバシーに配慮しつつ行動歴や感染経路などを一定に公表しているが、基地は感染者の人数以外の情報をほとんど発表しておらず「なぜ感染が急増しているのか」という素朴な疑問に答えていない。
感染拡大の具体的な説明を求める中国新聞の取材に対し、基地報道部は「必要な情報は全て地元の医療当局と共有している」と回答。情報を得ているとする県も、基地の発表を超える内容を公表していない。
岩国市など基地周辺の2市2町と県でつくる協議会は12日、感染防止対策の徹底とともに、情報提供を適切に行うよう基地に要請。市基地政策課の村上武史課長は「現時点で県の保健当局への情報提供は適切になされていると考えている。今後も継続してもらう趣旨で要請した」としている。(永山啓一)
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