広島県、感染減へ「先手」 広島市全域に時短要請、理解と協力が鍵
広島県は14日、新型コロナウイルスの感染を抑え込むため、広島市全域で、国の緊急事態宣言下と同様の強い対策を取るという「先手」を打ち出した。17日までの予定だった集中対策期間を2月7日まで延ばすのに合わせて「様子を見るより、あえて対策を強化して確実に感染者を減らす」という戦略に、国の新たな支援方針がはまった。県民へ一層の我慢を強いるだけに、狙い通りの効果を上げるには、幅広い理解と協力を得られるかが鍵となる。
「広島市は、昨年12月に宣言対象になってもおかしくない状況だった」。湯崎英彦知事は14日、集中対策期間の再延長方針を公表した記者会見で、危機感をあらわにした。
直近では新規感染者数の伸びは止まっているが、昨年12月初めごろに比べればいまだに4〜5倍の水準にあると指摘。市の感染状況は、政府分科会の指標で最も深刻な「ステージ4」(感染爆発)に高止まりしていると強調した。
先立つ3連休最終日の11日、湯崎知事は県幹部たちと県庁で集中対策の効果や状況分析を進めていた。複数の関係者によると、6時間に及ぶ議論では「県民の慣れが怖い」との現状認識を共有。対策をやめた後に感染が再拡大した他の自治体の事例も踏まえて「本当に安心できるところまで減らさなくてはいけない」と意を強くしたという。
翌12日の記者会見では、緊急事態宣言を出すよう政府に要請する可能性に言及した。宣言を活用した対策を打てないか、国に持ちかけていた。
新型コロナ特別措置法に基づく宣言は、都道府県を単位としている。広島県全体では政府の分科会が示す「ステージ2」(感染漸増)にあり、対象とするのは難しかった。一方で、折しも政府は「宣言に準じた地域」という支援策をまとめつつあった。
湯崎知事は西村康稔経済再生担当相と直接協議して活用を素早く決め、準じた地域として国の財政支援を宣言地域並みに受けられる道筋がついた。飲食店などに対する営業時間短縮の要請エリアを広島市中心部から市全域へ広げ、出勤者の7割削減を目指すなど、県民や事業者には厳しい制約を課す結果となった。
湯崎知事の記者会見に先立ち、県幹部は県議会側に再延長期間の対策を説明した。時短要請に応じた広島市の飲食店や喫茶店は協力金を受け取れるため、県議からは他の22市町との支援の「格差」を懸念する声などが出たという。
「減少傾向を確かにし、県民が安心して生活できるようにしたい。大変つらい状況があると思うが、理解、協力をお願いしたい」と呼び掛けた湯崎知事。対策期間の延長と強化で新型コロナの感染を抑えきれるか、県の正念場が続く。(岡田浩平、宮野史康)
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