再編の波、都市部にも 広島県立2高校の募集停止、平川教育長が会見
広島県教委は、都市部にある安芸と呉昭和の県立2高校の募集停止を決めた理由として、生徒の急増期に開校し、その後に規模が縮小した学校については速やかに再編する必要があるためと説明した。少子化の上に、私立高と生徒を取り合う事情もある。都市部には同様の「小規模校」が多くある中、統廃合では慎重な検討と判断が求められる。
「残念ながら都市部でも子どもは減っている。クラスを減らすと、活性化できなくなる」。平川理恵教育長は15日の記者会見で、県立高を取り巻く状況を説明した。限られた人材や財源で教育の質を維持し、各校の活力を高めるため、2校の募集停止の決断は「ぎりぎりのタイミング」だったと明かした。
▽定員減で対応
県教委によると、県内の中学3年生は2020年度に2万4561人と、1988年度の4万8780人から半減した。この間、県立高のうち中山間地域以外にある全日制本校の数は、57校から54校へと3校減にとどまる。生徒数の減少に定員減で対応したため、1学年3学級以下は2校から12校へ増えたという。
県教委は都市部で1学年4〜8学級を適正規模とみなす。80年代のピーク時の入学定員は安芸が423人、呉昭和が376人だったが、20年度はそれぞれ120人の3学級と80人の2学級となった。廃校しても近隣の中学生たちは他校へ通える交通環境があると判断し、小規模校の中でもこの2校が対象になった。
県立高の統廃合の議論はこれまで、山あいや島など厳しい人口減少と向き合う中山間地域が中心となってきた。県教委は14年にまとめた基本計画で、中山間地域にある1学年1学級規模の高校について「全校生徒が2年連続で80人を下回れば統廃合の検討対象となる」との基準を明記した。
一方で都市部の小規模校の統廃合には明確な基準はなく、再編がクローズアップされる局面はこれまでは乏しかった。今回の決定を唐突感を持って受け止めたのは、2校の在校生やその保護者、地域住民たちだけではないだろう。
▽私立高の存在
都市部で小規模校が増える背景に、私立高の存在を指摘する声もある。県内の公立高の入学者(全日制本校)はここ10年で2千人減り、20年度は1万4150人だった。私立高の入学者は同期間、8千人前後で推移している。
国は20年4月、就学支援金制度を拡充した。私立高校生がいる年収590万円未満の世帯では、授業料が実質無償となった。私立高は共学化や校舎新設を相次いで打ち出しており、今後、公私の枠を超えた生徒獲得競争の過熱は必至だ。
広島大大学院の滝沢潤准教授(教育行政学)は2校を募集停止とする県教委の判断を評価する。その上で「2校は支援が必要な生徒に熱心に学習・生活指導を重ね、子どもたちが社会への希望を見つける場としてきた。こうした役割を、今後の教育に生かすべきだ」と提案する。(赤江裕紀)
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