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町長選36年無投票「異常な長さ」 広島県坂町の現職8選、賛否交錯

2021/1/20 7:28

19日午前、商業施設駐車場での出陣式を終え、集まった支持者にあいさつする吉田氏(手前左)

 現職の吉田隆行氏(68)の無投票での8選が決まった19日告示の広島県坂町長選。初当選からの無投票での多選に町民からは「安定した町政の継続につながる」と肯定する声がある一方、「政策論争を聞く機会がほしかった」と嘆く声もある。

 【地図】広島市と呉市に挟まれた坂町

 「無投票が続くのは、吉田町長に任せておけば大丈夫という町民との強い信頼の表れだ」。この日の吉田氏の出陣式で、後援会の井上輝幸会長(79)は強調した。広島市と呉市に挟まれ、県内4番目に人口が少ない坂町。「小さな町で選挙があると残るのはしこり」と、ある高齢者は無投票を歓迎する。

 一方、2018年夏の西日本豪雨で大きな被害が出た小屋浦地区で被災した無職男性(63)は「選挙がないことで、坂町に活力がなかなか出ないと感じる。住民が町政について考える機会も失われてしまう」と残念がる。ある町議は「町長の在任が長いと、職員は町長の顔色ばかりうかがいがちになる」と心配する。

 吉田氏は、町内の住民福祉協議会(自治会)の会長たちが支える後援会組織を築き、11人の町議の大半が町長を支える。安定した選挙、町政の体制は、無投票での多選にもつながっているとみられる。

 総務省の研究会などでは、多様な住民の声の反映に選挙は必要で、首長の多選は組織の硬直化を招きかねないとの指摘がある。同町では前町長時代の1985年から無投票が続いており、環太平洋大(岡山市東区)の林紀行教授(政治学)は「異常な長さ。誰かが決めてくれるというお任せ民主主義が根付きかねない」と懸念する。

 豪雨からの復興や若い世代の定住促進など、町が抱える課題は多い。在任中の首長では全国最多の連続無投票当選となったトップには、より丁寧に町民の声をすくい取り、政策に反映する努力が求められる。(石井雄一)

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