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【どうみる核兵器禁止条約発効】<3>一橋大教授 秋山信将氏(53)

2021/1/20 22:51

一橋大教授・秋山信将氏

 ▽保有国の意識変革促せ 政府は対話の努力を

 核兵器禁止条約の発効は、国際政治に倫理的な規範を示すという点では核軍縮の前進だ。議論を方向付けるきっかけになるだろう。しかし批准はまだ51カ国・地域で、核兵器保有国は全く加わっていない。現状では法的な拘束力をもって核兵器を全て禁じているとまでは言えない。

 「被爆国」の日本政府は条約に反対。国際社会からは厳しい視線が注がれている。

 日本は核兵器の矛盾を体現している。広島と長崎の被害は、核の非人道性を明確に示している。同時に、米国の核抑止に頼る「核の傘」、核兵器を持つ中国や北朝鮮の存在からは、核が現実政治にいかに大きな影響を及ぼすかも明らかだ。日本は核を持たないが、その束縛から自由ではない。

 日本が条約に入るとどうなるか。言葉の定義にもよるが、核使用の威嚇や援助も禁じられており、「核の傘」からは外れることになる。「核抜き」の日米同盟も理論上は可能だが、中国や北朝鮮と向き合う上で米国がそれを望むだろうか。

 安全保障では、国民を守るために最悪を想定することが常識だ。中国の近年の軍事費の伸びや国際社会での振る舞いを考えると、当面は核抑止を含む日米同盟を維持しながら、核兵器の脅威や役割を減らすための対話を重ねていく努力こそが、現実的な対策ではないか。日本が今すぐに、米国との関係を損なってまで禁止条約に加わるべきだとまでは言えない。
(ここまで 591文字/記事全文 1252文字)

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