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【詳報・案里被告判決公判】<6>「民主主義の根幹である選挙の公正を害する犯行」

2021/1/22 1:01

 (3)次に、胡子への現金供与につき、検察官の主張するように、まずは克行と元公設秘書の間において、続いて元公設秘書と被告人の間において、それぞれ順に意を通じることによって被告人と克行の間に共謀が成立したといえるかについて検討する。

 まず、電話での元公設秘書の発言内容は、克行から封筒を預かったが、中身が現金か何か分からないけれども、江田島市議の胡子に早く渡してしまいたいというものにすぎず、被告人としては、江田島市内からの帰りの車中での元公設秘書への克行の指示の具体的な内容を了知していたものではなく、元公設秘書が預かったという封筒そのものも見ていないことからすると、元公設秘書が克行からの指示で胡子に渡すものが現金であるかもしれないとは認識したとしても、それを超えて、確定的にそうであると認識したとまでは認められない。また、被告人は、これまで、克行と共謀して岡崎らに対し選挙の応援をしてもらう趣旨で現金を供与したことがあり、胡子の立場などからして、克行が渡そうとしている封筒の中身が現金であれば、同様の買収の趣旨であるかもしれないと推知できたものと認められるが、金額がいくらであるのかを知っていたとは認められないことからすると、現金であったとしても、カラオケ大会の参加にかかる費用その他の異なる趣旨とも考えられ、自己の選挙のための買収資金であると確定的に認識していたともいい難い。

 そして、胡子への現金供与についての被告人の具体的な関わりの状況についてみると、元公設秘書から、電話で、カラオケ大会の会場で胡子を見かけたら教えてほしいと言われたのに対して、これを了承したことや、カラオケ大会の会場で、元公設秘書から、胡子を見ていないかと尋ねられた際に、見ていないと答えたことだけであり、胡子への現金供与が確実に行われるよう積極的に加担したものと評価することはできない。胡子に対する本件現金供与の遂行について、その構図を俯瞰すると、克行が江田島市内からの帰りに元公設秘書に指示し、その指示に基づいて元公設秘書が実行したというものであって、事前の電話あるいはカラオケ大会の会場で元公設秘書と会話を交わした際の被告人の発言は、本件犯行の実現にとって重要な役割を果たしたと評価することはできない上、被告人が存在する会場で本件現金供与がなされることになったのも、それ以前の予定が取りやめになったためであるし、元公設秘書が胡子に封筒を渡す場面に被告人が近くにいたわけでもないのであるから、会場内に被告人がいたこと自体が、胡子への現金供与の遂行について特段重要な意味を持つものではない。
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