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100歳スイマー、尽きぬ向上心 山口県田布施の長岡さん、世界初1500メートル完泳(2015年5月1日掲載)

2021/1/24 19:58
完泳し、トロフィーと賞状を手にする長岡さん(2015年)

完泳し、トロフィーと賞状を手にする長岡さん(2015年)

 100歳の現役スイマー、山口県田布施町の長岡三重子さんが、4月に松山市で開かれた日本マスターズ水泳短水路(25メートルプール)大会の100〜104歳の部で、世界初となる1500メートルの完泳を果たした。シニア世代を励ます快挙は、高い目的意識や長年の自立した暮らしの中から、生まれたようだ。

 出場したのは女子1500メートル自由形。得意の背泳ぎで30往復した。日本マスターズ水泳協会によると、100歳以上の部でこの距離を泳ぎ切ったのは男女を通して初。

 「しっかり食べ、よく動くことですかね」。ゴール後のインタビューで、元気の秘訣(ひけつ)を問われた長岡さんはさらりと答えた。ただ実際はそれだけではないようだ。

 80歳で水泳を始めた時は25メートルを泳ぐことも難しかったが、地元の温水プールに通い、達成できそうな目標を立てては距離やスピードを更新。95歳からは「股関節への負担が大きい」という周囲の心配をよそに、平泳ぎにも挑んでいる。

 コーチの沢田真太郎さんは「目標をクリアすることに貪欲で、そのために何をすべきか分かっておられる」と意識の高さに驚く。長岡さんは「人と比べてどう、というより自分のベストを尽くせることが気持ちいい。(水泳を始めてからの)20年間は、2年くらいだった感じ」。

 充実したシニアライフには下地もあった。田布施町の卸問屋に嫁ぎ、夫を亡くしてから94歳までの約40年間、一人で家業を切り盛りした。「頑固で私の言うことを聞かない半面、できることは自分でやろうとする気持ちが強い」と、横浜市に住む長男宏行さん(74)。長らく家事や遠出は自分でこなした。

 趣味の能楽を長年続け、年1回の舞台に向け稽古に励んできたことも大きい。耳が遠くなったことで稽古は80代後半で断念したが、宏行さんは「足腰や精神力が鍛えられ、今の土台になったのでは」と分析する。

 田布施町の自宅は、築約150年の木造家屋。段差が多く急な階段もあるが、宏行さんは手を貸すそぶりはない。「つい助けてしまいそうになるが、できるだけ本人にやらせています」

 日本マスターズ水泳協会の河野隆次事務局長は、「年を重ねても挑戦できることを示してくれている。マスターズ水泳のシンボル的な存在です」と実感を込めた。

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