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夜の街支え70年、店じまい 広島の総菜店、協力金対象外 得意先が休廃業

2021/1/28 22:39
「休業中のお得意さんに会えないまま店を閉じるのは寂しい」と話す濱村さん(左)と昌枝さん(撮影・宮原滋)

「休業中のお得意さんに会えないまま店を閉じるのは寂しい」と話す濱村さん(左)と昌枝さん(撮影・宮原滋)

 広島市中区流川・薬研堀地区にある小さな総菜店が今月末、約70年の歴史に幕を下ろす。「お通し」の販売先である地区内のスナックやスタンドなどが新型コロナウイルス感染拡大で休廃業し、売り上げが激減したためだ。再延長期間に入った広島県の新型コロナ集中対策で、総菜店は営業時間短縮や休業した場合に出る協力金の対象外。飲食店とともに中四国地方最大の歓楽街を支えてきた関連業者もかつてない苦境に直面し、支援を求める声が高まっている。

 「夜の街を支える誇りを胸に長年やってきたが、もうどうにもならない」。総菜店「まめふく」の店主、濱村守さん(63)はつぶやいた。雑居ビル1階にある12平方メートルほどの店舗。今月に入り、厨房(ちゅうぼう)に立つ機会は、ほとんどない。

 1952年に創業し、濱村さんは3代目。顧客の大半は同地区にある「夜の店」だ。最盛期の90年代には約150店のお通しなどの調理を担った。時代の流れとともに客は徐々に減ったが、妻昌枝さん(60)と支え合って切り盛りしてきた。

 しかし、コロナ禍の中で注文は激減。昨年12月に始まった県の集中対策で休業するスナックなどはさらに増え、今月の売り上げは例年の1割ほどという。「休業中のお得意さんに会えないまま店を閉じるのは寂しい。店や人とのつながりが好きだったが、コロナで分断されてしまった」

 県が集中対策期間を来月7日まで再延長した一方、政府は、広島市を緊急事態宣言に準じる地域とするのを見送った。このため協力する飲食店の取引先に検討された最大40万円の一時金はなくなった。まめふくのような食品や食材をはじめ、酒卸、貸しおしぼりなど飲食店の営業を支える関連業者への支援は薄いままだ。

 同地区にある、おつまみ専門店「月ケ瀬」の土居静児社長(43)は「苦しいのは関連業者も同じ。県の集中対策で支援がないのはおかしい」と訴える。同地区の飲食店や酒販店など約440の店や企業でつくる流川エリア活性化協議会の久保田耕一事務局長(41)は「物もお金も回らなくなっている。この状況が続けば、街全体の活気がさらに失われる」と懸念する。(藤田龍治)


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