地域ニュース

マスクの過信は禁物 新型肺炎、広がる不安(2020年2月7日掲載)

2021/1/30 18:53

 新型コロナウイルスによる肺炎への不安が広がる中、マスクを準備しなくてはと焦っていないだろうか。街中では品切れの店が目立ち、高値での転売も出始めた。しかし、専門家は「マスクだけで予防するのは難しい。過信しないで」と注意を促す。マスクの役割や正しい使い方をあらためて見直そう。

 ■限界 予防より症状ある人向け

 マスクが覆うのは、あくまで口と鼻だけだということを忘れてはいけない。広島国際大薬学部の佐和章弘教授(感染制御学)は「ウイルスが付着した顔の他の部分や手すりに触れ、そのまま口を触るなどすれば、感染の恐れがあります」と注意を促す。

 そもそも市販されているマスクの主な役割は、予防というより、既に症状のある人が着けてしぶきを周囲に飛ばさないことだという。世界保健機関(WHO)もマスクだけを使っても感染は防げないとし、症状のない人のマスク着用は推奨していない。マスクを着けた人と着けていない人を比べても、インフルエンザやかぜの発症率に差はないとする専門家の声もある。

 マスクは万能ではないにもかかわらず、スマートフォンのフリーマーケットアプリでは、本来100円のマスクが千円以上で売られたり、5千円を超える箱マスクが出品されたりと高額な転売が相次ぐ。佐和教授は「金額に見合う効果は見込めない可能性が高い。焦らないで」と呼び掛ける。

 予防にはむしろ、小まめで丁寧な手洗いが大切だと強調する。流水で20〜30秒洗い流した後、指の間や爪、手首もしっかり洗おう。アルコール消毒も有効だ。外出後はもちろん、できればマスクを外した後も手を洗いたい。外出先ではむやみに口や鼻を触らないよう意識したい。

 とはいえ、マスクは全く無意味なわけではない。近くの人がせきやくしゃみをしたとき、ウイルスを含んだしぶきを直接吸い込むのを防ぐと考えられている。佐和教授は「人混みや満員電車など他人との距離が近い状況では、感染のリスクを抑えられる」と話す。マスクが手元にないときは、ハンカチやティッシュで代用できるという。インフルエンザなど流行中の他の感染症の予防にもつながる。

 ■使い方 不織布製は再利用やめて

 マスクを着ける目的が予防であれ、しぶきの飛散防止であれ、正しく着けないと感染症を防ぐ効果は薄い。広島市医師会で公衆衛生を担当する佐々木博副会長は「なるべく顔との隙間をつくらないで」と話す。息苦しいからと鼻を出しては意味がない。

 最も普及している不織布製のプリーツ型の場合、鼻まで広げ、ワイヤを曲げて鼻の形に合わせる。さらに顎の下までしっかり下げる。少し口にくっつきやすく、着け心地に難点がある。半面、立体型は外見が鳥のくちばしのようだが、口元に空間ができやすく楽で、形の調整は要らない。

 表面にはウイルスが付いている恐れがあり、外すときはひもをつまもう。いったん使ったものをポケットなどに入れ、再利用するのは避けたい。マスクの内側や手にウイルスが付くかもしれないからだ。佐々木副会長は「昼食で外したら新品に替えるのが理想。1日1、2枚を使いましょう」。

 目の粗いガーゼマスクは、しぶきを防ぐには不向きという。最近、見掛けるポリウレタン製は密着性が高く数回使えるが、再利用するには丁寧に洗う必要がある。どのタイプも「花粉用」の表示だけの場合は、細かいしぶきを防ぎ切れないことが多い。一方「N95」と呼ばれる高機能マスクもデメリットがある。非常に目が細かく、結核など空気感染する病気の患者を診る医療関係者には必要だが、慣れない人には息苦しい。

 自分に合う大きさを選ぶのも大切だ。日本衛生材料工業連合会(東京)によると、親指と人さし指でL字形をつくり、耳の付け根から鼻までの長さを測ると目安が分かる。(福田彩乃)


この記事の写真

  • マスクの種類はさまざま。上から時計回りにポリウレタン製、プリーツ型、立体型

上記の写真をクリックすると拡大して表示されます。

  • 前の記事へ
  • 次の記事へ

 あなたにおすすめの記事

アーカイブの最新記事
一覧