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ごみ処理能力、3分の1失ったまま 広島市安佐南区の焼却場火災3週間 市外から受け入れ停止、再開めど立たず

2021/1/30 22:13
火災が発生した安佐南工場のごみピット。堆積していたごみが焼け焦げ、壁面はすすで汚れている(安佐南工場提供)

火災が発生した安佐南工場のごみピット。堆積していたごみが焼け焦げ、壁面はすすで汚れている(安佐南工場提供)

 火災の発生で広島市安佐南区のごみ焼却施設「安佐南工場」でごみの焼却処理が長期間ストップしている問題で、広島市と周辺の自治体に影響が広がっている。市内のごみ処理能力の3分の1が失われた状態が3週間余り続き、ごみの一部を周辺自治体に搬送して処理を委託するだけでなく、市が受託していた周辺自治体からのごみの受け入れも停止。施設の一部が破損したため工場再開のめども立っておらず、問題が長期化すれば市民生活にも影響が出そうだ。

 「1日でも早く復旧したいのだが…。能力の3分の1を失った影響は大きい」。市施設課の高橋泰治課長は肩を落とす。市内の1年間の可燃ごみ処理量は約30万5千トン。うち安佐南工場は約10万4300トンの処理を担っている。

 同工場は出火した7日から焼却処理を停止したままで、市は火災直後から市内に三つある焼却施設のうち、中工場(中区)と南工場(南区)にごみの処理を分散。さらに3月末までの暫定措置として、広島県坂町、廿日市市、呉市の焼却施設に可燃ごみの焼却を委託するなどの対応に追われた。最大計2400トンの処理能力を確保し、委託費は計約4千万円を見込む。

 影響は、安佐南工場に可燃ごみの処理を委託している安芸太田町にも及んでいる。同町は火災から3週間、町内のごみを運ぶ場所がなくなり、やむを得ず、町内のごみピットに仮置きしてしのいだ。来月1日からは北広島町のごみ焼却施設へ搬送する。

 それでも処理できるのは従来の半分程度という。町衛生対策室の田中博敏室長は「再稼働までの期間が長引けば、町民にごみの削減を呼び掛ける必要も出てくる」と気をもむ。

 さらに安佐南工場は、布団や家具など大型ごみの受け入れ先にもなっている。工場内で破砕して燃やすため、大型ごみもたまる一方だ。例年春から夏にかけ、引っ越しなどで発生する大型ごみが増える傾向にある。市は「不要不急の大型ごみの廃棄は時期をずらすよう要望する」と話す。

 一方、火災による被害の全容は不明だ。市によると、出火元のごみピットと呼ばれるスペースには、焼却前のごみ約2370トンがあり、半月ほど燃え続けた。消火活動でピット内にたまった大量の水を排水するには10日から2週間かかると見込む。ごみを持ち上げて焼却炉に移す大型クレーンなども焼損。仮復旧の見通しが立つのは2月末になりそうだ。

 ごみ焼却施設は定期的な点検が義務付けられている。市は安佐南工場の復旧に時間がかかる場合に備え、4月以降、中、南の両工場の点検期間を短縮して休炉日数が短くなるよう検討するという。高橋課長は「ごみの収集日を減らすことだけは絶対に避ける。減量や分別、リサイクルをこれまで以上に徹底してほしい」と呼び掛けている。(猪股修平、石井千枝里)

 <クリック>安佐南工場のごみピット火災 1月7日午前11時50分ごろ、広島市安佐南区伴北のごみ焼却施設、安佐南工場のごみをためる設備「ごみピット」(縦18メートル、横38メートル、深さ28メートル)から出火。消防車延べ288台、消防隊員延べ1031人が出動し、22日正午に鎮火した。ピット内には当時、可燃ごみ約2370トンがあった。出火原因は不明。同工場は「可燃ごみにリチウム電池やライターが混じっていたら出火することもある」としている。


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