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現場物語 新型ロードスター開発 <3> マツダ デザインに日独の感性(2005年4月20日掲載)

2021/2/1 10:49
粘土で試作したインテリアの形をデータ化する装置もあるマツダ本社のデザインセンター

粘土で試作したインテリアの形をデータ化する装置もあるマツダ本社のデザインセンター

 「デザインは、その車が持っている人馬一体という内面を形で表すことだった」。チーフデザイナーの中牟田泰さん(46)は、こう語る。2002年、その中牟田さんが新型車を任されたときの出発点は「どう過去を否定するか」だったという。

 丸みを帯びた車体、低く流れるサイドライン。小型オープンスポーツカーとして世界一の計72万台を販売したマツダロードスターは「あるべき形」が完成していた。独創性を追究するデザイナーの本能として、この完成度に反発した。

 マツダは本社のほか米国カリフォルニアとドイツに、車をデザインする開発センターを持つ。日米欧それぞれの市場の感性を反映させるためだ。中牟田さんは、あえてロードスターが築いた伝統のスタイルにとらわれない各国のトレンドを反映したデザイン案を求めた。

 若いデザイナーたちが意欲的な案を出してきた。洗練された美しさを得意とするドイツからは鋭い三角形のランプを持つ「モダン」。中大型車が多い米国案は後部トランクにかけて力強く盛り上がる「筋肉質」をイメージし、日本からの案は初代の「柔らかさ」を重視していた。

 三案を比べるため実物大の粘土模型をつくり、三次市のテストコースに並べた。いずれもオープンカーとしては最高の水準。だが難しいのはロードスターの魅力である人馬一体感の表現だった。

 役員も入り激論が交わされた。米国案は「力強さ」が過剰に映り、日本、ドイツ案が残った。中牟田さんの念頭にあったのは「愛着のわく生き物のような車」。行き着いたのは、ロードスターの伝統である日本案の柔らかさをベースに、ドアなどにドイツ案の斬新さを取り入れたデザインだった。

 03年夏、最終モデルを見た当時のルイス・ブース社長は「フレンドリーさ」にゴーサインを出した。

 「もっと雰囲気を変えても良かった」という声に中牟田さんは自信を持って答える。「これこそが、過去の否定から出発してたどり着いた新しい形だ」

【現場物語 新型ロードスター開発】
<1>「人馬一体」追い続ける
<2>1グラム単位で軽量化図る
<3>デザインに日独の感性
<4>ファンの声受けて設定

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