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クマ目撃1000件上回る 広島県内20年4―12月、人身被害4件

2021/2/2 22:44
三次市作木町のナシ農園内をうろつく成獣のツキノワグマ=2020年8月28日(広島県提供)

三次市作木町のナシ農園内をうろつく成獣のツキノワグマ=2020年8月28日(広島県提供)

 広島県内でのツキノワグマの目撃件数が2020年4〜12月の間で1196件に上り、県に記録が残る13年度以降で初めて千件を上回った。梅雨の長雨やナラ枯れ被害の拡大がクマの餌になるドングリの不作に結び付き、人里への出没につながったとみられる。13〜19年度の7年間で1件にとどまっていた人身被害は4件発生。例年より早く、春先からクマが活発に活動を始める可能性を指摘する専門家もいる。

 県自然環境課によると、市町別の目撃件数は、北広島町241件▽安芸太田町222件▽広島市193件▽庄原市180件▽三次市127件▽廿日市市107件▽安芸高田市96件―など。638件の目撃があった19年4〜12月の1・9倍となった。生息域とされる西中国山地のほか、東広島市16件▽三原市6件▽府中市3件―など、県南東部への広がりもうかがえる。

 NPO法人日本ツキノワグマ研究所(廿日市市)の米田一彦理事長(72)は「昨年は梅雨の長雨で全国的にドングリが不作だった。いつも以上に冬眠直前の秋に餌を求め、動き回る範囲が広がったのではないか」とみる。10、11月の目撃件数は19年同期の78件から7倍強の561件に急増した。4〜12月の目撃件数に占める10、11月の割合は、19年の12・2%から46・9%に拡大している。

 山林の荒廃も進む。県森林保全課によると、虫を媒介に広葉樹林で広がる「ナラ枯れ」の被害は、県内で初確認された06年度から徐々に増加。ドングリ不作の一因になっている。

 目撃増に比例するように人身被害は深刻化している。13年度以降は三原市で17年8月に1件しかなかったが、20年は7〜11月に庄原市で2件、安芸高田市と北広島町で各1件発生。庭の草取りや農作業中の高齢者が、クマに襲われ4人が重軽傷を負った。

 農業被害も相次いだ。三次、庄原両市では8〜9月、果樹園に侵入したクマにナシやモモの木が折られた。米田理事長は「空腹のまま冬眠に入ったクマが、例年より1カ月ほど早い3月から活発に動く可能性がある。引き続き注意が必要だ」と話している。(高橋穂)


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