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原爆資料館29日から休館 新型肺炎(2020年2月27日掲載)

2020/2/27 23:05
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、一時閉鎖が検討されている原爆資料館(広島市中区)

新型コロナウイルスの感染拡大を受け、一時閉鎖が検討されている原爆資料館(広島市中区)

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、広島市は27日、国内外から観光客が訪れる原爆資料館(中区)を29日から3月15日まで臨時休館にすると発表した。不特定多数の人が館内に長時間とどまるため、感染リスクを避け、拡大を防ぐことを最優先に判断した。

 国内外から広島を訪れる旅行者にとって資料館はメインの目的地の一つ。2018年度は152万2453人が訪れ、近年、外国人の入館者も増えている。改修以外の理由で長期間、全面休館することに、市平和推進課の中川治昭・被爆体験継承担当課長は「記録に残る中では例がない」としている。

 資料館はアルコール消毒液の設置数を大幅に増やすなど対策を講じてきた。「利用者への周知期間が短い中、感染症対策を優先したことにご理解をお願いしたい」と中川課長。旅行者には市ホームページなどで告知する。

 資料館と同じく平和記念公園内にある国立原爆死没者追悼平和祈念館(同)も同じ期間、休館する。

 市は資料館をはじめ、広島城(中区)や市現代美術館(南区)、ヌマジ交通ミュージアム(安佐南区)など計10カ所の集客施設を休館にする。

 また、千葉県で同じフィットネスクラブを利用した複数の人に感染が確認されたケースを踏まえ、区のスポーツセンターなどにあるトレーニング室10カ所の使用も休止。市立図書館11館ではオンラインで貸し出しを予約した書籍の受け取りと返却の利用に限り、書籍の閲覧などの館内利用を断る。(加納亜弥)

 ▽被爆体験継承にも影 資料館講話のキャンセル・延期32件

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、一時休館する原爆資料館(広島市中区)では、同館で受け付けている被爆体験講話のキャンセルや延期が相次いでいた。26日時点で、5月までの予約分を含めて計32件。証言を担う被爆者は「直接顔を合わせて話すことが大切だが、仕方ない」と複雑な表情を見せる。感染拡大は被爆の記憶の継承にも影響を及ぼしている。

 32件のうち延期は3件。予約していたのは個人のグループから修学旅行の団体まで幅広い。5月から修学旅行シーズンに入るため、感染が終息しなければ影響はさらに広がる可能性もある。

 証言者の小倉桂子さん(82)=中区=は、米国などから訪れる予定だった大学生たちへの講話が取りやめになった。「インターネット中継や録画ではなく、生きた被爆者の顔を見て話すからこそ聞く人も心が動くのに」と残念がる。

 一方、被爆者も感染の不安を抱えながらの活動になる。「マスクを着けて証言をするわけにもいかない。話の後には熱心な人ほど握手やハグを求めてくれる」と小倉さん。自身が代表を務めるガイドボランティアのグループでも対策の必要性を感じている。「心置きなく活動できるように早く終息してほしい」と願う。

 資料館は29日から3月15日まで臨時休館する。この期間中、キャンセル分を除き、実施予定だった被爆体験講話は同館主催分だけで22件あった。主に広島県外からの小中学生などの団体で、順次中止の連絡をしている。

 市が26日に決定した「手が届く距離で多くの人が会話や食事をするイベントは中止・延期する」との方針に沿い、高齢の被爆者の感染リスクにも配慮した。資料館の滝川卓男館長は「全国的に命を守るための対応が広がっている。仕方ない」と話した。(明知隼二)


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  • 新型コロナウイルス感染拡大の影響が出ている原爆資料館(広島市中区)

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