地域ニュース

盤上の社交場、惜しむ声 広島将棋センター、3月閉所

2021/2/11 22:46
広島将棋センターの思い出を話す田儀代表(撮影・川村奈菜)

広島将棋センターの思い出を話す田儀代表(撮影・川村奈菜)

 5人のプロ棋士を輩出した将棋道場として知られる広島将棋センター(広島市中区)が3月7日で閉所する。田儀聖吾代表(54)は「インターネットで対局できる時代。客足が減っていた現状で、新型コロナウイルスにとどめを刺された」と話す。関係者からは惜しむ声が上がっている。

 平日なら1日千円あればいくらでも滞在できる。広島金座街商店街のビルにあるセンターはかつて、多い日には50〜60人が盤に向かった。それがこの1年、全く来客のない日も増えた。将棋盤を挟んで至近距離で指すスタイルに加え、「駒を触るのを避けるようになったのでしょう」と田儀代表。入室時の消毒や、盤の数を半分に減らして対局者の距離を取るなど、対策しても客足は戻らなかった。

 センターは1978年、故本多冨治氏が現在地近くに開設。当時中学生の田儀代表は、大人にまざり腕を磨いた。「多くの人が将棋を通じて交流する社交場に似た雰囲気が好きだった」。20歳すぎから運営に携わり、2003年に本多さんが亡くなり引き継いだ。

 常連客の高齢化やネット将棋の普及で、客足はずっと右肩下がり。子ども向け教室や大会の開催で収益を上げて踏ん張ってきた。賃料の低い郊外移転を勧める声もあったが、「移転にも労力がいる。昭和の匂いが残る将棋道場の役割は終わった」と、年明けに43年の幕を閉じると決めた。

 来期、名人挑戦権を争うA級に昇級する山崎隆之八段(39)は、6歳から6年間通った。「おじいちゃんに勝ってジュースを買ってもらったり、みんなに声を掛けてもらったりいい思い出ばかり。時代の流れとはいえ、寂しい」と振り返る。

 日本将棋連盟直営の新宿将棋センター道場(東京都)も3月末で閉店するなど、対面式の道場経営は厳しさを増している。田儀代表は「子ども向けの教室自体は盛況だし、ネットを通じた指導もある。今後、いいとこ取りした将棋教室をつくる人が出てくれば」と期待を寄せた。(貞末恭之) 

【関連記事】
広島将棋センター3月閉所へ 故村山九段らプロ5棋士輩出


この記事の写真

上記の写真をクリックすると拡大して表示されます。

  • 前の記事へ
  • 次の記事へ

 あなたにおすすめの記事

同じ日のニュースの記事
一覧