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「ひったくりゼロ社会」見えた 広島県03年1063件→20年4件、県民運動効果やカメラ普及も

2021/2/12 22:59

 広島県内で1990年代以降、続発していたひったくり事件が激減している。一時は認知件数が年間千件を超えたが、2020年は4件にまで減少し、「ひったくりゼロ社会」も見えてきた。バイクなどで追い抜きざまにかばんを奪う犯行は市民の体感治安に影響し、県警は「減らそう犯罪」と銘打って官民で対策に取り組んできた。防犯カメラの普及も抑止につながっている。

 県警によると、ひったくりは90年代から夜の人通りの少ない路地で頻発。主に高齢者や女性が狙われ、未遂も含めた認知件数は03年に最多の1063件に上った。単純計算で1日平均3件。全国の都道府県で10番目に多かった。暴走族など少年非行が社会問題だった時期と重なり、県警が03年に摘発した55人のうち8割の44人が少年。遊ぶ金欲しさの犯行が目立った。

 県警は同年、「減らそう犯罪」県民総ぐるみ運動を開始。かばんのたすき掛け▽自転車の前かごにネット―などを呼び掛け、防犯団体も巡回を強化した。県警は制服姿で街中を回る「モグラ隊」も結成。摘発と啓発の両輪で対策を続け、認知件数は13年に100件を下回って63件に。19年に1桁の8件となり、20年は4件とさらに半減した。

 全国でもひったくりはピークの02年(5万2919件)以来、20年まで18年連続で減少。20年は02年の1・7%の877件となり、中国地方の他の4県も岡山5件、山口3件で、島根と鳥取はゼロだった。

 広島県警は激減の背景に防犯カメラの普及も挙げる。店舗や住宅、裏通りなどで広く設置が進み、ドライブレコーダーの搭載車も増え「監視の目」が光る。捜査員は「以前は手っ取り早く金が得られる犯罪だったかもしれないが、カメラが膨大に増え、科学捜査の技術も向上した今は摘発につながりやすい」と話す。福山大人間文化学部の平伸二教授(犯罪心理学)も「追跡されやすい環境が整い、路上犯罪は難しくなっている」と指摘する。

 20年に県内で起きた4件は、広島市と廿日市市で発生。うち2件が既遂で、6月に広島市佐伯区で70代女性が自転車の前かごに入れていた現金13万円などが入ったバッグを奪われ、11月には廿日市市で70代女性が自転車の後ろかごに置いていた現金4万2千円などが入ったかばんを奪われた。

 県警生活安全総務課は「まだ発生しているのが現実。あらためて対策の徹底を」と注意を喚起する。(山崎雄一)

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