地域ニュース
アビに会えない 広島の県鳥 今季観測61羽が最多 餌減少 飛来せず(2018年5月10日掲載)
広島県内で、県鳥の渡り鳥アビの越冬数が減り、姿を観察しづらい状況になっている。1960年代には数千羽が渡り来たとみられるが、今季の観測数は最大61羽に落ち込むなど「県の鳥」としては危機的な状況となっている。専門家は「餌の小魚の減少などが原因で、飛来数回復は当面難しい」と指摘している。
アビは、呉市の上蒲刈島や豊島、斎島沖の瀬戸内海に飛来してきた。日本野鳥の会会員でアビに詳しい百瀬淳子さん(86)=東京都=による地元住民の聞き取り調査などによると、60年代には当時最も多かった斎島沖だけで1500〜2千羽が飛来していたとの証言があるなど、一大飛来地だった。しかし、県の調査では、近年、上蒲刈島沖で十数〜70羽程度が確認できるだけとなっている。
呉市沖の越冬時期は12月から翌年の5月ごろまで。今季の飛来は既に終わり、観測数は最も多い時で61羽だった。百瀬さんは「海砂採取で餌のイカナゴが減ったことや、船の往来が増えたことが飛来数減の要因だろう」と分析。「環境が改善されないと回復しない」とみる。
かつて呉市沖では、アビがイカナゴを食べる習性を利用し、イカナゴを追うタイを釣る伝統の「アビ漁」があったが廃れた。県自然環境課は「93年にアビの保護管理計画を作り、冬から春にかけて斎島周辺で船の航行を規制するなどしている。保護対策を地道に続ける」と説明している。
10日から16日まで愛鳥週間。百瀬さんによると、アビは呉市沖のほか、山口県沖の瀬戸内海や福岡県沖の玄界灘にも飛来するという。(野崎建一郎)
<クリック>アビ
アビ、オオハム、シロエリオオハムなどアビ科の鳥5種類の総称。瀬戸内海に来るのは大半がシロエリオオハム。広島県は、絶滅危惧T類に指定する。呉市の豊島周辺は「アビ渡来群游(ぐんゆう)海面」として、国の天然記念物に指定されている。
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