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「検索」の先 「普通の学生」犯行加担【SNS「闇バイト」の末に 福山市強盗致傷事件】<上>

2021/2/17 22:28

「闇バイト」や「裏バイト」を募集するツイッターの書き込みのコラージュ

 ▽個人情報を握られ断れず

 福山市坪生町の民家で昨年2月、現金約2900万円が奪われた事件で強盗致傷罪などで起訴された愛知県岡崎市の元大学生鈴木駿太被告(23)が、3月に始まる裁判員裁判を前に勾留先の広島拘置所で中国新聞の接見に応じた。遊ぶ金欲しさに会員制交流サイト(SNS)の「闇バイト」に応募したのがきっかけだったという。「普通の大学生」の人生を暗転させた事件をたどる。

2900万円強奪疑いで男を逮捕 運搬容疑の男も、福山東署など 「闇サイト」介して犯行か【動画】


 昨年1月末。鈴木被告は愛知県内の大学4年生だった。実家暮らしで商社への就職も決まり、卒業を待つだけの日々を送っていた。

 そんなある日。「軽く5万円くらいほしいな」。スマートフォンを手にツイッターで「闇バイト 愛知」と検索した。

 以前にもお金欲しさで闇バイトを検索したことがあった。特殊詐欺で現金を受け取る「受け子」などのバイトが出てきたため、やらなかったが、今回は「運び」という表示に目が留まった。犯罪のバイトではないと思い、連絡してみた。

 「運び」を募っていた人物は連絡手段に通信アプリ「テレグラム」を使っていた。やりとりの秘匿性が高く、特殊詐欺などで浸透するアプリ。「まず保証金が必要。報酬と一緒に返す」と言われた。消費者金融で25万円を借り、指示通り名古屋市内のコンビニの駐車場で現れた男に渡した。しかし連絡はその後途絶えた。テレグラムのやりとりも消えていた。

 ■膨らむ借金

 だまされた―。ツイッターに愚痴を書き込むと「僕も仕事を探している。情報共有しましょう」と返信があった。後に福山市での強盗を持ち掛けてくる東京都北区、無職渡口大輔受刑者(29)=強盗致傷ほう助などの罪で実刑判決が確定=だった。

 渡口受刑者に仕事があると誘われ2月1日、東京へ。途中、運転免許証の写真を撮られた。自身の名義で携帯電話の新規契約をするよう言われ、新たなスマホと引き換えに渡口受刑者から20万円を渡された。ただ、保証金を払うなどし、借金は43万円に膨らんだ。個人情報が握られている恐怖心もあり文句は言えなかった。

 3日午前。渡口受刑者の指示を受け、レンタカーで宇都宮市へ向かった。道中、助手席の渡口受刑者が告げた。「宇都宮でタタキ(強盗)の案件がある。報酬は40万円。相手は詐欺で金をためているから警察には届けない」

 ■冷静さ失う

 強盗はさすがにやばい―。心臓が高鳴った。断ろうかと思ったが、初めて抱えた数十万円単位の借金をどうにか返したかった。ほんの数日前まで消費者金融を利用したことも、罪を犯したこともない「普通の大学生」だった。今思えば冷静さを失っていた。「やります」と応じていた。

 渡口受刑者を車から降ろし、1人で100円ショップへ。強盗に入った先で住人を縛る結束バンドや粘着テープを買った。渡口受刑者に連絡を取るよう言われた「加藤」の指示で、見ず知らずの5人とJR宇都宮駅で合流。翌4日未明、会社役員の男性方に窓ガラスを割って侵入した。

 だが男性は不在。現金の在りかが分からず、商品券など8点(計23万8千円相当)を盗んで家を出た。「失敗」に終わったからだろうか、報酬はなく、その足で愛知へ帰った。

 「この数日のことは忘れよう」。地元で友人と遊んでいた5日夜、スマホにテレグラムでメッセージが届いた。渡口受刑者からだった。(松本輝)

 <クリック>福山市坪生町の強盗致傷事件 2020年2月6日正午ごろ、男が介護士女性方に宅配業者を装って侵入。女性にカッターナイフを突き付けて両手を粘着テープで縛り、顔を蹴るなどして金庫内の約2900万円を奪った。実行役、現金運搬役、女性方の情報提供者、実行役の勧誘者とされる男4人が逮捕、起訴された。4人を含む犯行グループはSNSで知り合い、犯行を計画したとされる。

捨て駒 気付けば1人で実行役【SNS「闇バイト」の末に 福山市強盗致傷事件】<下>


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