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島根県奥出雲の循環型農業、世界農業遺産に申請決定 中国地方で初、たたら製鉄由来「十分に歴史性ある」

2021/2/20 13:50

砂鉄を採る「鉄穴流し」跡地を再生した島根県奥出雲町の棚田

 農林水産省は19日、砂鉄の調達で切り崩した山を棚田に変え、稲作や和牛生産を発展させた島根県奥出雲町のたたら製鉄由来の農業を、国連食糧農業機関(FAO)が認定する「世界農業遺産」に申請すると決めた。中国地方で初めて。日本刀や炭焼きが登場する漫画「鬼滅(きめつ)の刃(やいば)」の大ヒットもあり、「鉄のふるさと」に改めてスポットライトが当たりそうだ。

 登録申請の名称は「たたら製鉄が生んだ奥出雲の資源循環型農業」。原料に砂鉄、燃料に木炭を用いる日本古来の製鉄法は中国山地で栄えた。掘った真砂土を水で流して砂鉄を採った「鉄穴(かんな)流し」の傾斜や水路は棚田に生まれ変わり、鉄を運んだ牛は農繁期にも活躍。ふんは肥料にした。こうした営みが、特産の仁多米や奥出雲和牛につながっている。

 町は農家らとともに2018年、日本と世界の農業遺産認定を目指して農水省に申請。翌年、日本農業遺産に認定されたが、世界農業遺産を審査するFAOへの申請は認められなかった。世界的な重要性などに関する説明を補強して20年に再申請した。農水省の専門家会議は「砂鉄採取から複合的農業への転換を巧みに成し遂げた。十分に歴史性がある」と評価した。

 勝田康則町長は「奥出雲のたたら製鉄の歴史、農林畜産業の営みが国内承認を得て町民一同、大変うれしい。農林畜産物のブランド力強化とふるさと教育の充実を図り、次世代へ継承したい」とコメントした。

 世界農業遺産の申請地域には今回、山形県最上川流域の紅花の生産と加工、埼玉県武蔵野地域の落ち葉堆肥農法と合わせ3地域が選ばれた。農水省は今秋に申請書を提出する予定だが、新型コロナウイルスの影響でFAOの審査見通しは不透明。19年10月に申請した3地域も審査中という。

 「鬼滅の刃」の舞台は明らかではないが、主人公の竈門炭治郎(かまどたんじろう)は炭焼き農家の出身で、「鉄穴森(かなもり)」という名前の刀鍛冶も登場する。(境信重、三宅瞳)

 <クリック>世界農業遺産 近代化によって存続や維持が危ぶまれる世界的に重要な伝統農法や景観、文化、生物多様性を次世代に引き継ぐため2002年に創設。これまでに22カ国の計62地域が認定された。日本は新潟県佐渡市の「トキと共生する佐渡の里山」など11地域。認定されると、各地域で決めた計画に基づき保全や地域活性化を図ることが求められる一方、農林水産物のブランド化や観光客誘致などが期待される。 

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