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「ほろ酔い」サバ、味に酔って 山口県、餌に地酒の酒かす うま味増・甘い香り、21年秋出荷へ

2021/2/21 22:59
水槽で元気に泳ぐほろ酔いサバ

水槽で元気に泳ぐほろ酔いサバ

 山口県は酒どころの強みを生かして「ほろ酔い」養殖魚を開発した。2年前に実験を始めた第1弾のサバは地酒の酒かすを混ぜた餌を与え、うま味成分が増し、身が甘く香る効果を確認した。ブランド魚の明確な認定基準も決まり、県内の養殖業者が旬を迎える今秋に初出荷する見通しだ。

 県は2019年度に県水産研究センター(長門市)で研究を開始。実験を重ねて、酒かすを20%の割合で混ぜた餌を2週間〜1カ月半ほど与える効果的な餌やり法にたどりついた。

 市販の餌に酒かすを混ぜて養殖したサバは、うま味成分のグルタミン酸やアミノ酸の一種アラニンの数値が市販の餌だけのサバを上回った。身から果実香のある成分も検出され、水産大学校(下関市)の宮崎泰幸教授は「通常、魚からは検出されない。酒かすにより出たものと考えられる」と分析。魚臭さも減り、見た目も透明感が出るという。

 県内の日本海で取れるサバは小型では商品価値が低く、放流か別の養殖魚の餌になる。新型コロナウイルスの影響が出る前の18酒造年度(18年7月〜19年6月)まで、山口県は全国で唯一、12年連続で日本酒の出荷量が増えていた。利用しきれず産業廃棄物となる酒かすを有効に使おうと、養殖と酒造のコラボを考えた。

 今月に入り、県は生産と販路の拡大に向けて関係団体で協議会を設けた。「ほろ酔い」ブランドの認定基準を、県内の酒造会社が生産した酒かすを混ぜた餌で県内で養殖したものと決めた。サバについては、重さ500グラム以上▽出荷前に酒かすを20%以上混ぜた餌を15日以上与える▽酒かすを使った餌をやめてから1週間以内に出荷―の3点も条件とする。

 県酒造組合の山縣俊郎会長は「酒かすを有効に使ってもらえる。山口県の酒のPRにもなれば」と相乗効果を期待する。県漁協の渡辺英典参事は「コロナ禍で高級魚の価格が非常に下がっている。県内で特色のある魚をどんどん養殖していきたい」と力を込める。

 県は今後ロゴを作り、商標登録する。「やまぐちほろ酔いシリーズ」としてウマヅラハギやアユ、養殖業者から要望のあったトラフグやクルマエビの試験にも力を入れていく。(渡辺裕明) 

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