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豪商「中村家」の古文書、鞆近世史に光 1158点を子孫寄贈

2021/2/24 20:47
寄贈された中村家の当主の日記や保命酒の製法秘伝、書状、保命酒のとっくり

寄贈された中村家の当主の日記や保命酒の製法秘伝、書状、保命酒のとっくり

 ▽資料館が調査本格化

 江戸期から明治期にかけ保命酒の製造で栄えた福山市鞆町の豪商「中村家」に伝わる古文書など1158点が、市鞆の浦歴史民俗資料館に寄贈された。同館は近世の福山、瀬戸内の歴史をひもとく重要な手掛かりになるとし、調査を本格化させる。

 中村家は江戸初期に鞆で最初に保命酒製造を始めた。江戸中期に福山藩から醸造と販売の独占権を得て、鞆を代表する商家となった。歴代当主の日記32冊と記録類計39点は市重要文化財に指定されている。

 日記を含む1100点は2004年、13代目の中村弘さん(84)=広島市東区=が同館に寄託。広島大の青野春水名誉教授(今年1月20日に死去)や同館友の会などが調査してきた。保命酒の製造を福山藩が奨励した文書や囲碁棋士本因坊秀策の指導譜などが発見されている。

 中村さんが高齢となったこともあり「今後の保存を考え、鞆の歴史・文化解明に役立ててほしい」と、保命酒のとっくりや看板など58点を新たに加え、今月12日付で寄贈した。

 膨大な古文書のうち、これまでに詳しく解読されているのは1割程度という。多くの茶人や文人の手紙、琉球使節や朝鮮通信使の滞在の記述などもあり、同館の檀上浩二学芸員(63)は「鞆の浦だけでなく、瀬戸内地域や日本の近世史をひもとく宝の山」とみる。

 寄贈を機に、同館は調査体制を強化する。10年計画で解読を進め、資料集や特別展などで成果を発表していく。

 3月には、福山藩が幕末に建造した洋式帆船「順風丸」に関する青野さんの遺稿を資料集第1弾に位置付け発行する予定。檀上学芸員は「青野先生の遺志を継ぎ、全貌を明らかにしたい」と力を込める。(吉原健太郎)

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