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使い捨てビニール手袋不足 コロナ対策で需要増え介護現場悲鳴
新型コロナウイルス感染拡大を受け、介護福祉現場で欠かせない使い捨てのビニール製手袋の不足が続いている。国内でほとんど製造されていない上、世界的な需要増で供給が追い付いていないためだ。個人や企業の衛生管理意識の高まりも背景にある。価格が跳ね上がり、各施設から悲鳴が上がっている。
「以前は注文すればすぐ届いたのに、昨年5月くらいから1〜3カ月待ちになった」。高齢者介護施設「さいきせせらぎ園」(廿日市市)の岩本聖子施設長は頭を抱える。
価格も高騰し、感染拡大前の昨年1月ごろまで100枚300円だったが、今は同900円と3倍になったという。「これまで何げなく使っていた手袋がごみ箱にいっぱいになっているのを見ると、お金を捨てているような感覚になる」
特別養護老人ホーム「せせらぎ園」(世羅町)も昨年6月ごろから手に入りにくくなった。備蓄品が底を突きそうで、高値の手袋を購入せざるを得ない。西原丈順(たけとし)施設長は「感染防止のため以前より小まめに手袋を替えている。やむを得ないが、経営への影響は大きい」と打ち明ける。
ビニール製手袋は手にフィットして指先の感覚を生かしやすく、細かな作業をしやすいのが特長。介護福祉現場では排せつや食事の介助、口のケアのため、利用者1人当たり1日10枚前後が必要とされる。
不足が続く背景には、世界的な需要急増と生産国の偏りがある。家庭・産業用手袋を製造販売するショーワグローブ(兵庫県姫路市)によると、国内のビニール製手袋は、ほぼ中国製に依存。国内ではスーパーや飲食店をはじめ、家庭でもニーズが高まり、品薄に拍車を掛けているという。
介護施設では、ビニール製手袋の使用を見直す動きも出ている。広島市安佐南区の複合型介護施設「慈光園」は、ポリエチレン製も取り入れた。フィット感は劣るが、安価で入手しやすいためだ。昨年8月には繰り返し使えるゴム手袋を職員に1組ずつ支給。月8万枚だった使い捨て手袋の消費量を3万枚へと削減した。
ビニール製手袋の今後の供給見通しについて、ショーワグローブの担当者は「中国で増産しており改善の兆しは見えるものの、しばらくは品薄が続きそう」とみている。(佐伯春花)
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