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広島駅南口再整備、タクシー乗り場閉鎖「不便」 利用者、市中心部へ運賃増

2021/2/28 22:59
広島駅南口にタクシー乗り場がないと知らせる案内

広島駅南口にタクシー乗り場がないと知らせる案内

 広島の陸の玄関口、JR広島駅(広島市南区)南口にあったタクシー乗り場が1月に閉鎖されたのを受け、利用者から不満の声が上がっている。広島市が進める南口広場の再整備事業のためで、閉鎖期間は短くとも4年間。市は駅北口からタクシーを利用するよう促しているが、中心市街地に向かうには遠回りとなり運賃もかさむ。南口ではマイカーの降車場もなくなっており「玄関口の機能が低下し、イメージも良くない」と危惧する声もある。

 「タクシーをご利用の方は北口(新幹線口)をご利用ください」。1月9日にタクシー乗り場を閉鎖して以降、市とJRは駅構内に案内を掲示している。南口と北口は自由通路で約200メートルとそれほど遠くないが、北口から官公庁やオフィスビルが連なる紙屋町、八丁堀地区など市中心部にタクシーで向かうには、線路をまたぐ橋を渡るなど遠回りになる。

 「まさか南口の乗り場が全てなくなるとは」。駅でタクシーに乗り換えて南区の病院に通う無職女性(82)=安佐北区=は戸惑う。愛知県から毎週広島を訪れる会社員宇井典和さん(71)も「4年後までこの状態が続くんですか」とうんざりとした表情を見せた。

 南口では、乗客を送るためのマイカー降車場も昨年9月に閉鎖されている。近くの主婦奥田麻里さん(40)は「仕方ないとは思うけどやっぱり不便」と嘆く。

 市は、再整備事業の着手前から、63台分の待機所を含むタクシー乗り場の代替についてJRなどと協議。「代替スペースの確保を目指したが、適地がなく断念した」と説明する。

 市都市交通部によると、再整備事業の要となる新駅ビルは、路面電車が2階に乗り入れる構造で、現在の広場の半分まで建物がせり出すのが大きな理由という。工事を東西に分けてスペースを確保する案も浮上したが、約5年の工期が数年延びるため見送りに。路面電車、バス、タクシーの乗降場、マイカーの降車場のスペースのうち「大人数を輸送できる公共交通を優先せざるを得なかった」とする。

 駅からやや離れた県道沿いを中心に新たなタクシー乗り場を確保する策も模索。いったんはタクシー協会や広島県警、周辺地権者の意見を踏まえて7カ所を候補地としたものの、県道で渋滞が発生する懸念などがぬぐえず調整がつかなかったという。

 一方、他の政令市の駅前再開発事業では、タクシー乗り場を確保する事例が目立つ。2014〜16年に南口を工事したJR京都駅では、66台の待機場が一時消えたが4台分は確保。北口まで約300メートルあったため、最低限の乗り場は必要と京都市が判断したためだ。19年から始まったJR横浜駅西口広場の工事では、横浜市がタクシー団体と協議し、待機レーンを減らす一方、乗り場1台分は残した。

 広島駅の新駅ビルの完成は25年春を予定。市は同時期に暫定的なタクシー乗り場を設けるとする。三宅修司・広島駅南口整備担当部長は「さまざまな検討をしたが、工期も踏まえると確保が難しかった。不便を掛けて申し訳ないが、理解と協力をお願いしたい」としている。(新山創、猪股修平)


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