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コウノトリ巣箱を撤去 三次の灰塚ダム管理支所、生態系影響を考慮

2021/3/5 21:02
人工巣塔から撤去されたコウノトリの巣箱(4日、三次市吉舎町の知和ウェットランド)

人工巣塔から撤去されたコウノトリの巣箱(4日、三次市吉舎町の知和ウェットランド)

 国土交通省三次河川国道事務所灰塚ダム管理支所(三次市三良坂町仁賀)は、国の特別天然記念物のコウノトリを呼び寄せる目的で昨年12月に同ダム上流域の人工湿地へ設置した巣箱を撤去した。三次市が条例で保護種に指定するナゴヤダルマガエルの生息地が付近にあることから、オタマジャクシをコウノトリが食べる危険性を識者から指摘され、対応を改めた。

 雑木の枝を詰め込んだ巣箱は縦横各1・3メートル、深さ約0・7メートル。人工湿地「知和ウェットランド」(同市吉舎町知和)の人工巣塔(高さ12・4メートル)に掛けていたが4日、クレーンで撤去した。付近でコウノトリの目撃が相次いだ翌年の2006年に国交省と中国電力が整備した人工巣塔への巣箱設置は今冬が初めてだった。

 巣箱の設置を知った広島県野生生物保護推進員の内藤順一さん(70)=府中町=が、1日に数百匹のオタマジャクシを捕食するコウノトリの習性を国交省に指摘した。環境省が絶滅危惧種に指定するナゴヤダルマガエルの生息地が人工湿地の約2キロ南東の吉舎町安田地区にあることから、国交省は県や三次市と協議。撤去を決めた。

 地元住民が手作りし、人工巣塔近くに置いたコウノトリの姿を模した2体のデコイ(模型)はウェットランドの管理棟で展示する。同支所の細木修支所長は「生態系への影響について幅広い観点から検討するべきだった」と話している。

 安田地区では地元住民が約30年前からナゴヤダルマガエルの保護を続け、最近は約1600匹を確認している。同地区での保護活動にも携わる内藤さんは「国内のほぼ西限の生息地にいるダルマガエルが餌食になりかねない、ちぐはぐな対応だった。地元の懸命な努力をくみ取り、方針転換してくれた」と話した。(石川昌義)


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