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周辺と連携「必要」8市町 広島県内のコロナワクチン接種、利便性の向上期待
新型コロナウイルスのワクチン接種で、広島県内の全23市町のうち8市町が、住民票のある自治体以外でも接種できるよう周辺市町との連携が必要と考えていることが5日、中国新聞の調べで分かった。住民にとって便利になり、接種率の向上につながるのを理由に挙げる。ただ、周辺市町と連携を検討していると答えたのは2市町にとどまり、具体的な動きには必ずしもつながっていない。県境を越えた連携を検討しているとした自治体はなかった。
▽検討中は2市町のみ
周辺市町との連携が「必要」としたのは、広島、三原、府中、三次、大竹、江田島市と、坂、大崎上島町の6市2町。このうち広島、府中、江田島市は65歳未満での効果を期待した。
広島市は「働く世代や学生は自治体をまたいで通勤、通学する人が多く、接種率や便利さの向上につながる」。江田島市は「若者の多くは市外で働いている。休日に地元で接種すると、協力する医師が土日も対応することになる」と医療者の負担軽減を挙げた。
高齢者への接種をかかりつけ医による個別接種にする方針の三次市は「周辺部には、隣の市町の医療機関をかかりつけ医にする住民もいる。逆に他市町から市内の医療機関に通う人もいる」と必要性を強調した。
ただ、6市2町のうち、実際に連携を検討していると答えたのは広島市と安芸太田町の1市1町にとどまった。広島市は「ワクチンの供給量が限られる状況での連携は難しい。高齢者のめどがある程度ついてから模索する」として、具体的にはこれからだと説いた。
検討していないとした三次市は「国の接種管理システムなど決まっていないことが多く、全容が分からない。検討に入れないのが実情だ」。府中市は「固まっていない部分が多く、連携を模索できる状況にない」と明かした。国のワクチン接種の計画の遅れが、態勢づくりに影響している。
連携が「必要ではない」としたのは7市町。海田町は「町外で接種する住民の動向を把握しきれない可能性がある」と危惧した。廿日市市は「既に市で接種体制が出来上がっている。今さら広域連携を考える段階ではない」。呉市は「市単独で体制が整う予定で、他市町からも今のところ連携を望む声はない」とした。
「どちらともいえない」は8市町だった。庄原市は「国から接種の仕組みが最終的に示されない中、行政の事務負担が増す可能性がある」と答えた。国は入院・入所者や単身赴任者、遠隔地に進学した学生など一定の条件を満たした場合、住民票がない場所でも接種を受けられるとしており、「その中で一定に対応できる」との回答もあった。
広域連携を巡っては、厚生労働省が1月、近隣市町村で一緒に体制を築けば、住民が他自治体の医療機関でも接種を受けられる仕組みを導入すると表明した。これを受けて岡山県は全27市町村に連携を打診し、共同接種体制の整備に向けて予約システムの共通化の検討などを進めている。
三原市は「市町が個別に動くのは非効率。県が仕組み作りをしてほしい」として、連携に向けた広島県のリーダーシップを求めた。県は「連携時に障害があるなど、市町から相談があれば解消に向けて支援を考えたい」としている。
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