スポーツ界に大麻まん延 元広島ジャクソン投手や元五輪代表国母選手…危険リキッド、摘発の壁
大麻リキッドを密輸したとして広島ドラゴンフライズのジャマリ・トレイラー容疑者が8日、大麻取締法違反容疑で逮捕された。大麻は薬物犯罪の入り口の「ゲートウェイ・ドラッグ」と呼ばれ、若者へのまん延が深刻化。スポーツ界でも近年、大麻汚染が次々と明るみに出ている。中国四国厚生局麻薬取締部は、若者の間に「大麻は危険性の低い薬物」という誤った認識が広がっていることが背景にあると指摘する。
法務省が公表した2020年の犯罪白書では、同法違反の摘発は19年に4570人(前年比21・5%増)と初めて4千人を超えた。うち半数を占めたのは30歳以下。20歳未満は前年から4割以上増え、若者への大麻汚染の拡大を裏付けた。
スポーツ界では20年7月、元広島東洋カープ投手のジャクソン・ジュニア・ランディー選手が自宅で大麻リキッドを所持したとして広島県警に逮捕された。その後に不起訴処分となったが、ファンや関係者に衝撃が広がった。同年1月には、米国から大麻を密輸したとして同法違反罪に問われた元五輪代表のプロスノーボーダー国母和宏選手が有罪判決を受けた。
汚染はプロの世界にとどまらない。20年10月には首都大学リーグの強豪、東海大の硬式野球部で複数の部員による大麻使用が判明。近畿大の体育会サッカー部も複数人の使用の事実が明らかになった。
米国の一部などで大麻使用が認められ、インターネットには使用に肯定的な情報があふれる。同麻薬取締部は、こうした現状が若者による乱用に歯止めがかからない要因の一つと分析。さらにスポーツ界でのまん延に「きつい練習や、先輩との上下関係など大きなプレッシャーの中で気持ちを落ち着かせる目的で使うケースが多い」と指摘する。
またトレイラー容疑者が持ち込んだとされる大麻リキッドは国内でも拡大しており、摘発の壁ともなっている。大麻特有のにおいが少ない上、電子たばこのような機器にリキッドを入れたカートリッジを装着して吸引すると、見た目で判別しにくいためだ。リキッドは乾燥大麻に比べて危険性が高いとされ、欧米などから密輸されるケースが目立つ。
同麻薬取締部は「大麻は脳に障害が出たり精神疾患になったりする非常に危険な薬物だとあらためて認識を」と警鐘を鳴らす。(山田英和)
<クリック>大麻取締法 大麻をみだりに栽培したり輸出入したりすると7年以下の懲役、所持や譲り渡し、譲り受けの場合は5年以下の懲役に問うと規定。営利目的は罪が重くなる。使用は罰せられない。大麻は神社のしめ縄などの材料として古くから栽培されており、許可を得て栽培する農家が収穫作業などで空気中の成分を吸う可能性があるためという。しかし若者の乱用が社会問題化し、厚生労働省は今年1月、有識者検討会を設け、罰則を設けるかなど規制の在り方の検討を始めた。
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