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遠のく外国人客、苦境いつまで… 中国地方の観光地、落胆広がる(2020年3月25日掲載)

2020/3/25 22:54
マスク姿の観光客が目立つ宮島。東京五輪の延期を受け、客足低迷の長期化を懸念する声が広がる

マスク姿の観光客が目立つ宮島。東京五輪の延期を受け、客足低迷の長期化を懸念する声が広がる

 東京五輪・パラリンピックの延期方針が示されてから一夜明けた25日、中国地方の観光地で落胆の声が広がった。新型コロナウイルスの感染拡大により各地で観光客数の落ち込みが続く中、外国人客が戻るきっかけにしたいとの期待が遠のいた形。「いつまで苦境が続くのか…」。客足減少の長期化を懸念する声が強まっている。

 「延期は仕方ない。ただこのままの状態が数カ月続けば深刻だ」。世界遺産の島・宮島(廿日市市)で観光客向けの食堂や土産物店を経営する男性(70)は懸念する。2月中旬からツアー客が減り、3月の食堂の売り上げは前年比8割減という。宮島観光協会の上野隆一郎専務理事(52)は「五輪の当てが外れたが今こそおもてなしを強化し、宮島の良さを伝えたい」。

 山口市の湯田温泉でも戸惑いの声が上がる。旅館協同組合に加盟する16施設の3、4月の宿泊予約は平年と比べ6割ダウン。一帯の飲食店も閑散としている。中野愛子理事長(79)は「外国人客が増えると期待していたのでがっかり。打つ手がない」と肩を落とす。

 外国人観光客の減少が続く尾道市。瀬戸内しまなみ海道沿線の観光振興を担う官民組織「しまなみジャパン」の合田省一郎専務理事は「渡航制限が出ている国もあり、五輪が開催されても厳しい状況だった。事態の収束をみながら、来年以降の受け入れ戦略を考えるしかない」。外国人観光客のガイドを務める同市在住のピーター・カードさん(35)は「夏までの予約は全てキャンセルになった。五輪の延期で、秋以降も厳しい状態が続くのではないか」と心配する。

 呉観光協会(呉市)は、五輪も念頭に昨年来、呉の英語版ガイドマップ作りやホームページの英文サイトの充実などを進めてきた。担当者は「延期を残念がるよりも時間的余裕ができたと受け止めたい。外国語のコンテンツを追加していく」と前を向く。

 広島市内のホテルにも影響が及ぶ。グランドプリンスホテル広島(広島市南区)の2月の宿泊室数は前年より15%減。五輪に向けて外国人客の増加を見越し、レストランのベジタリアンメニューを増やすなどしてきた。担当者は「中止ではなく延期なので前向きに捉えたい」と話す。

 リーガロイヤルホテル広島(中区)は25日時点で宿泊稼働率が昨年3月の半分にとどまる。延期によって「夏の海外需要は当初見込みより減る」とみる。 

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