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シカが7割、列車と動物の衝突事故増加 鉄分補給で線路なめる習性 JR広島支社管内

2021/3/20 16:36
JR美祢線で走行中の列車の前を群れで横切るシカ(JR西日本広島支社提供)

JR美祢線で走行中の列車の前を群れで横切るシカ(JR西日本広島支社提供)

 広島、山口県内の山あいを走るJR西日本広島支社管内の在来線で、動物との衝突事故が増加している。2019年度は10年度の約2・5倍で、シカとの衝突が7割を占める。生息域の拡大が背景にあるとみられ、列車が走行不能になる事故もある。同支社は20年から山口県で猟友会に報奨金を出して捕獲を促しており、広島県内での導入も検討している。

 同支社によると、19年度の衝突事故は10年度の約2・5倍の869件。うちシカが609件と70・1%を占め、イノシシが27・4%の238件で続いた。シカは鉄分を補給するため線路をなめる習性があるとされ、夜間や早朝を中心に線路内への立ち入りが後を絶たない。路線別では芸備線225件▽山陰線215件▽山陽線141件▽美祢線140件―の順だった。

 衝突事故の際には急ブレーキをかけるため、乗客への影響が懸念されるほか、車体の確認や死骸の撤去で運休や遅れも生じる。美祢市では20年11月に美祢線の普通列車が自力走行できなくなる事故も起きた。

 同支社は線路脇に柵を設けたり、出没が相次ぐ区間で徐行したりしているが、山間部全体で対策を講じるのは難しい。シカが線路に近づかないように鉄分を含んだ資材を山中に置く策も試みたが、抜本的な解決にはならないという。

 広島大大学院の谷田創教授(人間動物関係学)は「中山間地域を中心に限界集落や耕作放棄地が増加し、シカなど野生動物の生息域が拡大している。人里に下りてきたシカなどが人に慣れてくる傾向もあり、線路や道路での事故が増えるのは必然」と説明する。

 同支社は20年7月、美祢、山陰線が走る美祢市と長門市の猟友会と連携し、捕獲した場合に1頭当たり3千円を出す報奨金制度を開始。12月末までの半年で280頭分を支給した。

 報奨金制度の効果を見極めた上で、広島県内の芸備線沿線などでの導入も視野に入れる。「JRだけでは対策に限界がある。行政や民間と連携し有効な手だてを考えたい」としている。(浜村満大)


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