おおすみ事故、遺族敗訴 広島地裁「釣り船の右転が原因」
大竹市沖で2014年1月、海上自衛隊の輸送艦おおすみと釣り船が衝突し、釣り船の船長たち2人が死亡した事故を巡り、遺族たちが国に慰謝料など計約5400万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で広島地裁は23日、請求を棄却した。衝突直前に釣り船がおおすみ側に右転したのが事故の原因と判断した。遺族側は控訴する方針。
谷村武則裁判長は、両船の航跡の特定報告書や、おおすみのレーダーの記録などを基に「釣り船の針路がおおすみ側に変化しなければ衝突は生じなかった」と認定。おおすみが釣り船を追い越そうとする状況ではなく、釣り船を避けるべき注意義務を負っていたとは言えないとした。
事故は14年1月15日午前8時ごろに発生。釣り船の4人が投げ出され、いずれも広島市中区の高森昶(きよし)船長=当時(67)=と大竹宏治さん=同(66)=が死亡した。
遺族側の田川俊一弁護団長は判決後の報告集会で「事実認定を誤り、おおすみ側の主張をそのまま採用した判決で不当だ」と批判。海自は「裁判所の理解が得られたと考えている。艦船の運航安全と同種事故の再発防止に一層努力していく」とのコメントを出した。
事故を巡っては、広島海上保安部が14年6月、おおすみの艦長と航海長(いずれも当時)、釣り船の船長の計3人を業務上過失致死傷などの疑いで書類送検。広島地検は15年12月、釣り船が直前に針路を右に変えたのが原因とし、艦長と航海長を嫌疑不十分で不起訴処分とした。釣り船の船長も容疑者死亡で不起訴処分とした。(山田英和)
<クリック>輸送艦おおすみと釣り船の衝突事故 2014年1月15日午前8時ごろ、大竹市沖の阿多田島の東約1・2キロの海上で発生。定期点検のため母港の海上自衛隊呉基地(呉市)から玉野市の造船所へ向かっていたおおすみ(8900トン、全長178メートル)の左舷と、広島市中区の係留施設から岩国市沖の甲島へ向かう釣り船(5トン未満、7・6メートル)の右舷が衝突、釣り船が転覆した。釣り船の4人のうち船長たち男性2人が死亡、1人が重傷を負った。国の運輸安全委員会は15年2月に公表した調査報告書で、釣り船が右転しておおすみに接近したと指摘。おおすみが早い段階で減速、注意喚起していれば回避できた可能性もあったとした。
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