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【詳報・克行被告第47回公判】弁護側被告人質問<1>買収罪と事前買収について争うことはしない

2021/3/24 1:46

 2019年7月の参院選広島選挙区の大規模買収事件で、公選法違反罪に問われた元法相の河井克行被告(58)=衆院広島3区=の第47回公判が23日、東京地裁であり、被告人質問が始まった。初日は弁護側が質問し、克行被告はこれまでの全面的な無罪主張を撤回。起訴内容の大半について買収の意図を認め、議員辞職する考えも示した。詳報は以下の通り。

 弁護人 公訴事実に関して全て否認を争うとしていたが、今は認否についてどう考えているか。

 被告 今日から被告人質問が始まるということで、あらためて公訴事実について考えを整理してまいりました。私の意見を述べさせてもらいます。妻案里(元参院議員)と共謀して選挙買収をしたという点は全く事実と反しますので無罪を主張させていただきます。自民党広島県参院選挙区第7支部の職員をはじめとする陣営関係者に差し上げたお金も選挙買収に当たるという事実はなく、この点も無罪を主張します。

 弁護人 広島県議や広島市議に現金を渡した事実、後援会員に渡した事実についてはどうか。

 被告 後援会の皆さま、地方議員や首長の皆さまにお金を差し上げました。差し上げた相手一人一人にそれぞれ固有の理由、趣旨、事情があります。あからさまに投票依頼を行ったことはございません。その上で、あの19年の参院選広島選挙区で自民党が2議席を獲得するという党の大方針を実現するため、(参院選で争った)現職の溝手顕正先生に加え、妻案里の当選を得たいという気持ちが全くなかったとはいえない、否定することはできないと今は考えています。よって一人一人の事情、理由は各論で詳しく説明させていただくが、全てが選挙買収目的だったということは断じてないが、全般的に選挙買収罪の事実であることは争うことはいたしません。買収罪と事前買収については争うことはいたしません。

 弁護人 総括主宰者として起訴されている点はどうか。

 被告 公訴事実では総括主宰者として断じられている。公示以降、事務所の実態がどうだったか、私が知りうる限りの事実を包み隠さず説明させていただきます。本来なら自民党広島県連が果たすべき役割を果たせなかった。補完、代行をやむを得ずしなくてはならなかったことも事実です。その観点で、総括主宰者についても評価されるのであれば、致し方ない。参院選についてはこの場で伝えて、裁判長には適切に判断をいただきたい。

 弁護人 当初否定していたのは、どういう考えか。

 被告 ひとつは検察庁の供述調書を前提とした公訴事実をそのまま全てを認める、あの夏、春から夏にかけて実際に何が広島県で行われたのか、その事実と私の真意とはかけ離れていた。全てお金を差し上げた行為が選挙買収のみであったように断じられることは政治家として受け入れることができませんでした。もうひとつは100人と言われているお金を差し上げた皆さん一人一人によって、時期、金額、場所、狙い、私との長年の関係性、全て100通りの事情があります。それらを全て十把ひとからげで、一括して買収と断じられることには到底、納得できませんでした。この法廷で検察の尋問、弁護人の反対尋問が行われて参りました。法廷での議論を通して、私なりに何が真実だったのか、裁判長や世間の皆さまに知ってもらいたいとの願いがございました。

 弁護人 案里氏の選挙に関する事件で、被告が争うことに至った背景には案里氏のことを考えてということもあったか。

 被告 来月で私たち夫婦は結婚してちょうど20年を迎えようとしております。長年にわたり苦楽をともにしてまいりました。結婚当初、私は衆院2期目で選挙で落選して浪人中でした。その中で地元の方の勧めで妻が県議選に立候補して当選した。支援していただき当選して以来、共に政治の現場に立ち、大変私的なことになるが、子どももつくることなく2人とも政治の道を一筋に走り続けてきた20年間でした。今回、案里が一生懸命にひたむきに草の根の活動を広げ、県民、有権者の支援をいただき、参院に議席をいただくことができました。19年の選挙で29万5817の票数を獲得しました。私が当初から一部にせよ認めることによって、あの春から夏にかけて妻案里の、そして一緒に頑張ってくれたスタッフ、県内各地で案里を自分のことのように純粋に応援していただいた彼女の後援会、支持者のみなさまの支持で得た当選に泥を塗るのではないか、汚れを与えるのではないかと考え、案里の尊厳と、一票を投じた皆さまの尊厳を守るため、私自身の潔白を主張し続けて参りました。

 弁護人 思いを変えるに至ったのはなぜか。

 被告 私は東京拘置所に259日間勾留され、拘置所を出て高橋康明裁判長の法廷に出廷したのが46回だった。多くの証人の皆さまの証言を法廷でじっと毎日聞いてまいりました。その中で、私にとっては後援会の皆さまは家族同然。1990年に県議選に出るため政治活動を始めて30年間。至らぬ私を支え続けてくださった。私は世襲でもなければ官僚出身でもない、家系に大きな資産家を有していたわけではない、どこにでもいる青年でした。そんな私を自分の子どもや孫のようにしてずっとお支え続けてくれたのが後援会の皆さん。その皆さんの法廷で証言されている姿を拝見し、拘置所のバスで独房に戻り、毎日毎日、自問自答を繰り返しました。検察官から十数回の取り調べを受けた人もおり、「本当に案里を当選させたいという気持ちは全くなかったのだろうか」と、家族同然の後援会のみなさんが証言する姿を見て毎日、深く自省しました。その中で多くの皆さまにご迷惑を掛け、取り返しのつかない心の傷、中には心身ともに不調を訴えて入院した人もいると側聞しています。そういう話を聞くうちに、自らの内面と真っすぐに向き合い、逃げることなく認めるべきは認めることが、長年にわたりお支えいただいた後援会、支援者のみなさまに対する私なりの政治家としての責任の取り方だと考えるように至りました。

 弁護人 後援会の方の辞めてほしい、という声もあった。忍びないという思いもあったのか。

 被告 新型コロナウイルス禍であったので、後援会関係者の皆さまは多くの方が広島地裁からの遠隔の証言だった。高齢になられた方、良くない体調を押して全く罪のない一般の善良な市民、県民が裁判所に出頭するのは、家族も含めて心を痛める。証人の証言を聞きながら、数十年にわたる公私両面の付き合いが思い出され、いたたまれない思いがしました。弁護人に先ほどおっしゃっていただいたように、もうこれ以上、法廷の場に出廷をお願いして、私の行ったことに巻き込むことができないと申し上げました。

 弁護人 地元や国政への思いは。

 被告 後援会のみならず、本当に大勢の関わりを持ってしまった皆さまに、言葉に尽くせぬ甚大なご迷惑、ご心痛を与えた。国政に対する不信も招来せしめた。案件が公選法違反に関わることですので、日本国の代議制民主主義、その国の在り方を決める最も重要な国政選挙への信頼を損なう行為をしてしまった。深く反省し、おわびを申し上げたい。認めるべきはしっかり認め、自らの内面を見つめ直し、逃げることなく罪を認めていくべきだと考えた。

 弁護人 案里氏の有罪判決が確定したことは認否の変更に影響したか。

 被告 案里の事件と私の事件は別のものだと考えている。先般申し上げた通り、妻と共謀した事実は天地神明に誓って全くない。妻の一審判決に左右されたことは一切ない。

 弁護人 認否を変えるよう働きかけや説得はあったか。
(ここまで 3067文字/記事全文 4155文字)

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