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トッコウ服阻む体当たり 3月末で定年の広島県警・佐々木大平警部【ひと まち】

2021/3/24 22:25

暴走族の摘発を振り返る佐々木警部

 暴走族の車にパトカーで体当たりして止めた瞬間を今も鮮明に覚えている。今月末で広島県警を定年退職する佐々木大平(おおひら)警部(60)は約20年前、県警の暴走族対策史上初の「実力行使」の際、パトカーのハンドルを握った。もう暴走はさせない、させたくない―。大人の本気を少年らに示した出来事だった。

 広島市と周辺は当時、荒れていた。1999年11月、暴走族と県警が胡子大祭(えびす講)で衝突、80人が逮捕された。その後も集団暴走はやまず、パトカーや交番の襲撃事件も相次いだ。県警は2001年10月、228人体制の特別取締本部を設けた。

 暴走行為を映像に収めて確認し、その後摘発する手法に市民の不満は高まっていた。着任間もない県警本部長、竹花豊さん(71)=NPO法人全国万引犯罪防止機構理事長=は決断した。「パトカーを接触させてでも止める」。慎重で、確かな運転技術を持つ佐々木警部がドライバーに選ばれた。

 本部設置から2カ月余の12月29日未明、バイクや車が市内を暴走。車に乗っていた少年が鉄パイプを振り回した。佐々木警部のパトカーの無線が響いた。「着手」。佐々木警部は後方から追い付き、パトカーの左前部を車に2度ぶつけ、動きを封じた。「今もスローモーションのように覚えている」

 竹花さん自身、「重い決断だった」と振り返る実力行使。現場も市民からの批判を覚悟した。相手にけがでもさせたら風当たりはさらに強まる。「使命感とともに重圧も大きかった」と佐々木警部。幸い、少年たちにけがはなかった。

 1984年、警察官になった。最後のポストは県警の交通指導、少年対策両課の課長補佐。署の交通部門なども含め、長く非行少年の暴走対策を担った。

 トッコウ服姿の少年と向き合うと「望んで暴走している子ばかりじゃなかった」と実感した。背後にいる「面倒見」の暴力団組員に金を求められ、窃盗などの犯罪に走ったケースは少なくなかった。

 99年に44団体428人いた県内の暴走族は15年度以降、ゼロが続く。一方、会員制交流サイト(SNS)の影響もあり、非行の実態は見えにくくなった。毎週末の少年への声掛けなどを通じ、変化を感じ取ることは少なくない。「あの頃に戻しちゃいけん。非行の芽を早く摘むことが大切」。どんなに時代が変わっても、大人が少年たちと地道に向き合う姿勢が必要なことに変わりはない、と確信している。(山田英和)


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  • 広島県警と暴走族が衝突した「えびす講」。県警の対策強化の契機となった(1999年11月18日、広島市中区)

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