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特産ネギ「川口根深」いまや栽培2、3軒だけ 福山

2021/3/25 21:47

川口根深を植えた畑にくわを入れる今川さん

 住宅や商業施設が立ち並ぶ福山市東川口町。点在する畑に青々としたネギが生えていた。「ここらで取れるのは川口根深(ねぶか)と言うんよ」と農家の今川賢二さん(78)が教えてくれた。先祖から苗を受け継ぎ、今川さんで14代目になる。所有する畑に数百の苗が植えられていた。

 特徴は強い甘みと柔らかさ。みそ汁の具やすき焼きに入れて食べるのが今川さんのおすすめだ。「昔は取れたてをたき火であぶって食べとったけえ、畑の脇で酒を飲む人もおってよ」と懐かしむ。

 根深は川口の歴史に根差す。干拓が進んだ寛文年間(1661〜73年)に入植した人たちが、京都の九条ネギの苗を持ち帰った。砂地での栽培に適し、農民の多くが植え始めた。カラスやスズメも食べないため、収穫が安定して見込める野菜として重宝された。

 昭和の中ごろまでは自転車で府中市へ売りに行く人もいたという。「子どもの時ここらは一面ネギ畑じゃった。(1キロ先の)松浜町の水路まで農家がズラリと並んで根深を洗ってたんよ」と今川さんは振り返る。

 宅地開発などで離農が進み、川口根深を育てるのは2、3軒のみ。後継者が細る中、今川さんは家庭菜園用にカップに入れた苗を川口東公民館で配るなど地域での継承に努める。川口の特産品を絶やしたくないとの思いからだ。「わしの生きがいじゃけえ、根深がなかったら何しよったか想像できん」。くわを持つ手に力を込めた。(猪股修平)


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